裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

「エッセイ」タグのついた記事一覧

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あやかしの館

Category:山岸凉子

あやかしの館
1981年

『あやかしの館』(プチ・コミックス)
山岸凉子作品集〈10〉傑作集4 夏の寓話』(白泉社)
山岸凉子全集〈17〉ゆうれい談(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子恐怖選〈4〉汐の声(ハロウィン少女コミック館)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子スペシャルセレクション〈10〉ヤマトタケル』(潮出版社)
に収録。



「だれかいるんですよね」

は高校に通うために、叔母の由布子の家に居候することになった。
浮世離れした由布子の性格にも慣れてきた頃、葵はその家で起こる奇妙な現象に気づく。


この後『二口女』(由良子さん&縁ちゃん)『ケサラン・パサラン』(由良子さん&紫苑ちゃん)と続く「気持ちだけは異常に若いイラストレーターのおばさん&寒色系の名前の女の子」という二人が出てくる作品群の一番最初の作品です。
その中で一番どうかしている由布子さんは、なんか微妙に失敗した洋館に住んでいましたが、その家は変なことばかり起きます。怯える葵ちゃんですが、由布子さんは「えーでもしょうがないじゃない」みたいな反応で終わらせてしまいます。肝が据わっているというか図太いというか。

この話に出てくる由布子さんの「あやかしの館」は山岸先生が当時住んでいた家をモデルにしただけあって、葵ちゃんの恐怖体験が妙にリアルで怖いです。家電が信じられないくらい故障する。ドアも開いてないのにドアの開く音。玄関ドアの覗き穴から見える、金色の光をひいて歩く透き通った人…。
最後はギャグで終わらせてくれてるのがありがたいですが、やっぱり怖い。「寝てると近づいてくる誰かの足音と吐息」が一番イヤですね。でも金色の帯はちょっと見てみたいかも?

「おかしいと思ってたのよね この家。
とくに玄関がよ。信じて ね! 由布子さん」

「だからって どうしようもないではありませんか」

葵ちゃんとはまた違うクールツッコミの家政婦・寒川さんには理由がわかってました。

「お玄関が表鬼門なんですよ この家。
古いことをいうとお思いでしょう。
でも玄関が鬼門じゃ 何かが通ってもあたりまえなんですよ」


『山岸凉子全集〈17〉』の巻末には山岸先生のインタビュー記事「山岸凉子の幽霊譚」が載っていて、『あやかしの館』に出てくる不思議エピソードは全部、山岸先生が自分の家で実際に体験したことだと語っています。す、すごいな…。このインタビューの時はすでに「鬼門」の玄関は改装されていたらしい。
「玄関に貼ったお札だけがはがれるんですよ」
「鬼門を閉じたら精神は平穏になったけど、仕事は鬼門が開いてた時の方が調子が良かった」という話も出てて、悪いことばかりじゃないとこが逆にそれっぽくて面白い。お手伝いの寒川さんの名前の元ネタは寒川神社か…。

私はというと、家相とか鬼門とかあんまり信じてないんですけど、『ケサランパサラン』にもちらっと出てきた「方違え」ってやつはちょっと信じてるんです。何故かというと↓

昔、私が子供だった頃、両親が「田舎の一軒家に住みたいわ」というありがちな願望を抱いたため私たち家族は同県のわりと田舎の方の市に家を借りて引っ越したんですね。
母はたまたま機会があって視てもらった占い師から「今の時期にその方向へ引っ越すのは良くない」と言われたらしいのですが、あまり気にせずその田舎町で新生活をスタートしたんです。
しかし憧れの田舎ライフは想像と違い過酷でした。私たち家族は近所の人々からよそ者扱いされ、私は転校先の小学校がなんか軍隊か刑務所みたいな学校で、(校舎は高い塀で囲まれて生徒が逃亡できないようになっていた)担任教師にいじめられ不登校→引きこもりになってしまい、家族全員心身共に疲労し、たった1年で元住んでいた町の2DKのアパートに逃げ帰ってしまった、という苦い経験があるのです…。
占いの結果とそれとは偶然かも知れませんが、あの頃の生活があまりに強烈に酷かったので信じざるを得ないというか…。うちの両親は今でもたまにあの頃を思い出して言います。「あの占いは当たってた」と。
そういえばあの田舎で借りてた家もよく幽霊出てたなー。だから家賃格安だったのかな。
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タイムスリップ

Category:山岸凉子

タイムスリップ
1993年

自選作品集 タイムスリップ(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
ゆうれい談(MF文庫)』(メディアファクトリー)
に収録。



世の中 摩訶不思議な話というのは結構あるものです

山岸先生の実際の体験や、周りから聞いた「時間に関する不思議な話」をバカになりきって話す実話系の作品。
面白かった! こういう不思議な話大好きなんです。幽霊ものより超常現象っぽい話のが好き。

最初の話は「比叡山を車で下る時、何度も同じ場所に出てしまう」というお話。これは山岸先生の体験なのですが、驚くことにそれをアシさんに話した時、アシさんの一人が
「わたしも比叡山で同じ目に合った!」
タクシーで山道を下っているはずなのに何度も何度も見る景色。同じお地蔵様。うしろの席で不思議がっていると、タクシーの運転手さんが一言。
「いやあ! この辺はこんなことがよくあるんですよ」
地元では有名!? すごいや比叡山。さすが志々雄様のアジト。(←関係ない)
てことは地元の運転手さんはみんな、比叡山に登る時は時間の流れのおかしい所につかまってしまうことを覚悟して行くんですね(笑)すごいや。これ比叡山の七不思議に加えた方がいいんじゃないでしょうか。比叡山行ってみたい…!

山岸先生がまたそれを別の人・Yさんに話すと、
「わたしもそれと同じような経験しました」
こうしてつながっていく不思議体験の輪…。
東北地方を旅行中、速度と時間からいって目的地についてもいいはずなのに、なぜか終わらない真っ暗な一本道(怖い)。そんな時ふと見つけた小さな木造の建物(怖い怖い)。裸電球が灯っているのに誰も出てこない(怖い)。
しかも驚くことに、松島トモ子も自宅マンション付近で迷った時、同じような体験をしたらしいですよ。東北地方と東京で同じような無人の木造の建物。怖いって!
きっとその建物は異次元に迷い込んでしまった人を待ち受ける建物なんですよ…。管理人はこの世の者じゃないんですよきっと…。こっちはできるだけ行きたくないな…。

ここで山岸先生が抜粋した『世界不思議百科』は私も読んだことあります。けっこう面白かった。
博物学者のサンダーソン博士はアズエー湖の近くで道に迷ってしまった。歩き疲れてふと気がつくと、なぜか15世紀のパリにいた。
「15世紀のパリだ」ということは博士も、一緒にいた奥様も、なぜか直感で思ったらしいです。こ、これは怖い。下手したら帰ってこれなそう。
そしてやっぱり訳知り顔の地元民。比叡山付近のタクシー運転手のように、地元の人たちの間では日々「坊や、アズエー湖の近くはたまに500年前のパリになるから気をつけなさい」「はーい、いってきます」みたいな日常会話が繰り広げられてるんでしょうか(笑)
きっと「現在のアズエー湖付近」と「15世紀のパリ」は何らかの理由でリンクがはられてるんですよ。時間や距離など意に介さないのが超常現象。あの世は過去と現在と未来が同時に存在するらしいし(by白眼子さま)。

これらの話のすごいところは、同じような体験を複数の人がしているというところですね。
比叡山は山岸先生とアシさん。木造の建物はYさんと松島トモ子。15世紀のパリはサンダーソン博士と奥さん(側にいた助手さんにはパリは見えてなかったらしい)。
この世にはそんな不思議な場所がきっとたくさんあるんですね…。私も一生のうち一度はそんな不思議体験できるのかしら。煙草に火をつければ解けるらしいし、私も一度くらいは狐に化かされてみたいものです。本気です。でも幽霊見てみたいって言う人に限って霊感さっぱりなんだよね…。

恐怖の甘い物一家

Category:山岸凉子

恐怖の甘い物一家
1980年

メデュウサ(サンコミックス)
山岸凉子作品集〈8〉傑作集2 ティンカー・ベル』(白泉社)
山岸凉子全集〈29〉ダフネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子恐怖選〈2〉メデュウサ(ハロウィン少女コミック館)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子スペシャルセレクション〈14〉メタモルフォシス伝』(潮出版社)
に収録。



昭和20年代の北海道。そこには世にも恐ろしい甘党の一家が暮らしていた。
さらに恐ろしいことに、そんな砂糖漬けの一家の中でたった一人「R子ちゃん」だけは甘い物が一切食べられないという並はずれた甘い物嫌いであった…。


甘党一家の中に一人だけ甘い物ダメな子供として生まれてしまった山岸先生の幼少時のお話。
山岸先生のエッセイマンガは何気に名作が多いですが、その中でも最高傑作!と勝手に思ってます。
山岸先生の家族の甘党エピソードがすごい。

お母様「お茶など飲んで口の中の甘味を消すなんて もったいない」

お父様「この世で一番うまいものは真っ黒い羊羹だよ」

塩漬けの桜の葉だけを頼りに道明寺を食べる「R子ちゃん」超けなげ。
「子供の頃の世界なんて家族だけで成り立っていたから、自分の家の食卓がこの世の食事の全てだと思っていた」という話はすごーくよくわかります。子供の頃って自分ちが世界の基準だったものね。

し 知らなかった!! アシスタントさんに教えてもらうまで
生玉子も納豆も砂糖ぬきが本当だったなんて


うひー。「甘いお菓子が好き」くらいなら普通の甘党だけど、「本来しょっぱいはずのおかずまで甘くする」のは相当レベルの高い甘党ですよ…!(この一家、夕食がおはぎだったりするらしい)
しかし山岸先生が甘い物嫌いってことは、『星の素白き花束の…』の甘党ロリータ夏夜ちゃんの「グラスの半ば以上ジャムにしめられたロシアンティー」とか描くのしんどかったでしょうね(笑)

ゆうれい談

Category:山岸凉子

ゆうれい談
1973年

ゆうれい談(セブンコミックス)』(小学館)
山岸凉子全集〈17〉ゆうれい談(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
ゆうれい談(MF文庫)』(メディアファクトリー)
に収録。



山岸先生がマンガ家仲間から聞いた「幽霊談」一挙公開。
「手ぬぐいを巻いた幽霊」「柳の精霊に恋された姉」「幽霊に脚を引っ張られて膝がはずれた少女」「窓を叩き続ける左手」…。
実際にあった怖い話、それと私の好きな「不思議で奇妙な話」もちゃんと入ってて嬉しいです。
やっぱり「怖い話」は怖い! 特に「石垣の上を走る少年」の話が絵面的に怖いです。「国分寺の石垣の道」だそうですが、まだあるのかなー。怖いもん見たさで行ってみたい。
「大島弓子が予知夢を見る」という話はなぜか納得してしまいました(何となく大島先生は予知夢見そうなイメージある)。

話と関係ないですが、歌いながらマンガを描くシーンで「バビル2世の主題歌を歌うアシさん」が「年をくっているのにナツマンではない」と書かれているのにびっくりしましたよ。さすが70年代。貸本屋も出てくるし。
この頃は山岸先生の絵もまだ線が太くて若干コミカルで、後の鬼気迫る恐怖絵ではないのがありがたいです。続編の『読者からのゆうれい談』は線が細くてだいぶ怖い…。

しかしささやななえ(現:ささやななえこ)の「おにぎりの中身を当てる能力」は「羨ましい!」の一言。こういう特殊能力欲しいなぁ。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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