裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

「母と息子」タグのついた記事一覧

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セイレーン

Category:山岸凉子

セイレーン
1977年

セイレーン(花とゆめコミックス)』(白泉社)
山岸凉子作品集〈7〉傑作集1 スピンクス』(白泉社)
山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
に収録。



写真を撮りにギリシャにやって来たカメラマン。
そこには「必ず船が沈む」と言われる聖域「セイレーンの岩」と、不思議な少年・ニコがいた。


「セイレーンは伝説上の生きものだよ」
「ううん本当にいるんだよ。みんなは知らないんだ」

ニコの言う「海の中に住む友達のセイレーン」は実は昔殺されて沈められたニコの母親の死体だった…というシーンが怖いです。海面に顔を向けてユラユラ漂ってるんだもん。なんで腐ってないんだ。

主人公(名前出てこない)が望遠レンズを通して少年の自慰を見てしまうという、当時の少女マンガとしては斬新なことをやってしまった作品。
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鬼子母神

Category:山岸凉子

鬼子母神
1993年

黒鳥 ブラック・スワン(白泉社レディースコミック)』(白泉社)
黒鳥 ブラック・スワン(白泉社文庫)』(白泉社)
山岸凉子スペシャルセレクション〈9〉鬼子母神』(潮出版社)
に収録。



愛という名で飲み込まれた子供は 自分の真の姿にいつ気がつくのだろうか

ごく平凡な家庭に生まれた瑞季。しかし瑞季は「悪魔」で、双子のは「王子様」だった。
さらに、は「菩薩様」で、は「表札」だった。


この話はすごい好きです! お気に入り山岸作品のトップ10に入る。
生まれながらの「悪魔」である瑞季が「菩薩様」に叱られる「王子様」の汗を袋に集めたり、「表札」がゴルフに行ったりと、一見シュールなギャグのような絵面ですが、描かれるのはそれは歪んだ家庭。
瑞季の目だけに見えるメルヒェンな家族像を通して描かれる母と兄(名前出てこない)、母と父、そして母と瑞季…。この描き方はほんとにすごい。

「菩薩様」に溺愛される兄はピッカピカの「王子様」。「菩薩様の裏の顔」に睨まれる瑞季は「悪魔」。兄との愛され方の違いに少々グレてしまった瑞季ですが、ママの王子様であろうと過剰に頑張る兄より絶対マシ。この作品で一番可哀想なのは多分お兄さんだなあ…。

「気を抜いてはだめよ。良い大学へ行けないとパパのように苦労しますよ」
「ちょっと調子が悪かっただけだよ」
「わかってるわ。これがお兄ちゃんの本来の力じゃないことぐらい」

「お兄ちゃんは几帳面なのに あんたは女の子のくせにだらしなくて ママ恥ずかしいわ」


テーマのわりにこの作品がスッキリ読めるのは、主人公・瑞季が最後まで母と兄に飲まれなかったからでしょう。
家ではダメ人間のように言われてても、学校では面白い奴として人気者だし、兄と比べて学力はないけど勉強はそこそこ要領よくて友達も多くてお笑い担当! この娘のおかげでこの作品は鬱々とした雰囲気にならずに済んでます。
途中から母の叱責にも開き直りだして、不良化しちゃったりして良いキャラ。山岸作品の主人公の中でもかなり好きです。普通にいい子なのに母と兄の瑞季の扱いひどすぎ。
母と兄に女としての自信をさんざん折られて可哀想でしたが、モヤシくん(名前出てこない)と出会ってその呪縛からも解放されたし、瑞季はほんとうまく家から出られたと思います。早めに家に見切りつけてよかったね!

不倫する夫に失望した母が、夫に代わって期待したものは息子でした。
母に溺愛され、甘やかされ、尽くされた「王子様」は、途中までは順風満帆の優等生でしたが、偏差値高すぎる高校に入った途端沈没し、家庭内暴力と酒に走っています。
一方、家を出て舞台女優として活躍する瑞季は、大人になった今ようやく気づくのでした。

夫に失望した母には それにかわるものが必要だった
それが兄だったのだ
失望が大きければ大きい分だけ 兄に対する期待は膨らんだに違いない
それゆえ兄は生まれながらにして王子だったのだ
弱さを認められず 負けることを許されない立派な王子(おとこ)!


悪魔も王子様も、母の目に映った姿だった。瑞季は最初から「悪魔」として見られていたおかげで、母の裏の顔に気づくことができた。
「王子様」として母の期待に応え続けて壊れた兄。酒浸りの王子様にまだ尽くす母…。やっぱり兄が一番可哀想だなあ…。自分より遥かにまともな生活をしてる瑞季を「不肖の妹」呼ばわりするあたり、未だに王子様健在だし。

瑞季の父への批判は、山岸作品に何度となく出てくる「男」への苦言。
妻に自分の母親がわりをおしかぶせ
永遠に子供のままで父親になれない姿がここにある


ここに出てくる「妻とセックスなんて近親相姦のようでゾッとする」と言った「某作家」が誰だかわかんないんですが。
瑞季はあんな歪んだ家庭の中にあっても唯一、いろいろな真実に気づいて自立した大人になれたんだなあと思うと、ほんとに瑞季よかったねとしか。しかし母と兄は将来どうなるのかな…。共依存してるよな…。

スピンクス

Category:山岸凉子

スピンクス
1979年

スピンクス(花とゆめコミックス)』(白泉社)
山岸凉子作品集〈7〉傑作集1 スピンクス』(白泉社)
山岸凉子全集〈27〉クリスマス(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子恐怖選〈3〉千引きの石(ハロウィン少女コミック館)』(朝日ソノラマ)
自選作品集 ハトシェプスト(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
山岸凉子スペシャルセレクション〈4〉甕のぞきの色』(潮出版社)
に収録。



その頃僕は魔女の館に住んでいた

「僕」は魔女の館に住んでいた。「僕」は真っ白な部屋に来る日も来る日も立っていた。
毎日毎日「スピンクス」がやって来て「僕」に質問をする。声も出ず体も動かせない「僕」は「スピンクス」に弄ばれる。


山岸作品は父親・娘の近親相姦を描いた作品はやたら多いですが、この作品は珍しく母親・息子の癒着を描いています。
「しゃべりたいのにしゃべれない」「動きたいのに動けない」「紙でできた食べ物を無理矢理食べさせられる」「ぐっしょり濡れた毛布」など、「僕」=アーチーの悪夢が本当に感覚的で気持ち悪い。

どぎつい顔に大柄な裸体、尖った赤い爪を持ったライオンという、アーチーの恐怖を具象化したような「スピンクス」として登場するのは彼の母親。ねめ回すような目つきがいやらしい。
スピンクスが作った紙人形がアーチーの体を舐め撫で回すシーンはかなり性的なイメージ。

恐怖と嘔吐しそうな嫌悪で一杯になりながら
僕は彼女に抱かれる

地獄だ地獄だ!
(それでも彼女の腕は暖かい)
声があるなら叫びたい 涙があるなら泣きだしたい
(それでも彼女の胸は暖かい)


後半は壁画の中(病院)。母親がスピンクスだったり病院がエジプト壁画だったり、アーチーの精神世界はエジプト仕様。
ある男の人が出てきてアーチーに優しく話しかけてくれるのですが、アーチーは恐ろしいスピンクスの言うとおり、その人を無視しなければいけません。
自分を助けてくれそうな男の人に感情が伝わらないことに心底悲しむアーチー。

「おまえが生きていけるのはここだけ。
おまえが生きていけるのは この私とだけよ」


淫らな母親と子宮の中の胎児、ドアの外の開かれた宇宙…の絵がなんかすげー!

この話は冒頭からアーチーの心地悪い目線でずっと進んでいたので、アーチーが優しい男の人・ブロンクス医師に気持ちを伝えることに成功するハッピーエンドでよかった!

「あのスピンクスはだれ?」
「あれはきみの愛情と憎悪 不安・混乱」
「なに? なんて言ったの」
「ううん きみの不安がああいった形で見えたんだよ」

あの陽光の中に時々かげって見えるのは あれは…
そうだ 今は少しもおそろしくない魔女……スピンクス


光溢れる、妙に爽やかな終わり方が印象的です(同じ近親相姦話でも父娘系はけっこう気味の悪いかんじで終わる作品が多い気がするので…)。

愛天使

Category:山岸凉子

愛天使(セラピム)
1977年

セイレーン(花とゆめコミックス)』(白泉社)
山岸凉子作品集〈9〉傑作集3 黒のヘレネー』(白泉社)
山岸凉子全集〈30〉愛天使(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈8〉二日月』(潮出版社)
に収録。



「ぼく 天使しってるよ。あの池に住んでるんだよ。
夜になるとお星さまがキラキラ光る中をとんでくるんだよ」


大学へ通うため(という名目で)、母を捨てた父の新しい家庭に住み込むことにした水穂
水穂はその家の庭で、何故か離れに一人住む優樹という少年と出会う。


6歳の時から心を閉ざし、ものを見ようとも聞こうともしないがために天使のように邪気のない魂を持つ優樹。ひょんなことから優樹と会話ができるようになった水穂は、優樹の目に日常的に「天使」が見えていることに驚くのでした。

「なにに手をふってるの?」

「天使だよ。ほらあの窓の中に」

優樹の天使みたいな笑顔がカワイイ。同じ天使でも『幻想曲』の「気の狂った天使様」とはえらい違いです。
自分には心を開かずに水穂に抱きつく優樹を覗き見る奥様(優樹の母)の顔は般若のようですよ…。

「お医者さまがね こういうの。
母親の愛がたりない! 母親の不安定な精神が子供に反映するのだ! ……と。
あたしは優樹も広樹も緑もわけへだてなく愛したつもりよ。
下の方はふつうに育ったわ。なぜあの子だけが!
どうやったら……どうして愛してやったらいいのかわからなくなって……
それであの子のことは忘れたいと思うようになったのよ」


この奥様をただの悪役に終わらせず、心を病んだ子を持つ母の苦しみをちゃんと描いているあたり、さすが山岸先生です。

どうでもいいけど「愛天使」で検索すると「愛天使伝説ウェディングピーチ」ばっかり出てくる…。

赤い髪の少年

Category:山岸凉子

赤い髪の少年
1973年

赤い髪の少年 (サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈13〉妖精王3
に収録。



「なぜ彼のことをにんじんと呼ぶのです? 髪が赤いからですか?」
「あの子の心ときたら髪よりすごい色なんですのよ」

大学院生のエマニュエルは従兄の息子のステファヌと出会う。
「にんじん」と呼ばれるステファヌは母親から虐待を受けていた。


ジュール・ルナールの『にんじん』を元に描かれた作品です。
夫との不仲による苛立ちを息子にぶつける母親がひどい! ステファヌの失くし物をこっそり隠して「さがしておいで。見つけるまで家に入れませんよ」とか、楽しみにしてた芝居に一人だけ行かせないようにしたりとか…。
本当に実の母なのかと疑うほどの陰湿な虐待。暴力は振るわなくとも、こういうネチネチしたいじめも充分酷いですね。他に兄姉が二人もいるのに、なぜか末っ子のステファヌ一人が標的になっているあたり、リアルです。父親も何とか言ってやれよ…。

どうしてこんな目にあわなくちゃいけないんだ
ママはぼくが憎いんだ 憎いんだ!


大好きだったはずの猫を発作的に殺してしまい、「だれもぼくを愛してなんかいない」と泣きじゃくるステファヌを暖かく受け止めるエマニュエル。いい人です。目指せ『籠の中の鳥』でいうところの人見さんのポジション。
自分の悲しみを自分より弱い者(猫)にぶつけて殺してしまった今のステファヌと、ステファヌのママは同じなのだとエマニュエルは言います。

「悲しみや苦しみをうまく処理できない人っているんだよ。
きみはあのネコが好きだっただろ。だけどあのネコはきみをうらんじゃいないと思うよ。
きみの悲しみを知っていただろうから きっときみを許してくれてるよ。
ママだってきみを憎んであんなことをするんじゃないんだ。
こうせざるをえないんだよ。悲しい人なんだよ」


「ママのこと まだよく理解できないけど…
でも おじさんがぼくを愛しててくれるんだったら……
それだけをたよりにぼく やってみるよ」


小説の『にんじん』には、このエマニュエルおじさんという「救い」は出てこないようですね。
原作読もうかな。

コスモス

Category:山岸凉子

コスモス
1987年

奈落 タルタロス(あすかコミックス)』(角川書店)
自選作品集 タイムスリップ(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
パイド・パイパー(MF文庫)』(メディアファクトリー)
に収録。



小学生の裕太は喘息持ち。
「胸の中に風が吹きだす」とママはいつも心配そうに裕太を看病してくれる。
優しいママがパパの会社に電話をかけると、パパが帰ってきて車で病院に連れて行ってくれる…。


怖えー!
読み終えたあと、背中がゾクッとなりましたよ…!
こういう恐怖が描ける山岸先生を改めて尊敬。

裕太が喘息を起こすと、普段は顔を合わさないパパをママが呼んで来てくれる。
ある日裕太はクラスメイトに「喘息って気のせいだからその気になれば治るらしいよ」と言われます。
気のせいなもんか! こんなに苦しいのに
※ここ伏線です。

もう、ママの呪文のような台詞が恐ろしくてたまりません。

「嫌ねえこの風。裕太ちゃん 胸大丈夫?

ママが不安そうにこっちを見てる
風の音とママの顔とで僕はドキドキしてそして…

裕太が発作を起こすと

「裕太ちゃん しっかりね。今パパに来てもらうからね。
あなた! 早く戻ってきてください。
裕太が大変なんです」


僕は苦しい時しかパパに会った事がないみたい

また、ある冬の日。

「もうすぐお正月ね。ママ…心配だわ。
だってお正月は病院がどこもお休みになるのよ。そんな時に裕太ちゃんの胸がまた…

怖い、ママの目が怖い…!
裕太は一生懸命不安を押し殺しますが、また発作を起こしてしまいます。
ママはまたパパの会社に電話します。

「M物産でしょうか。お忙しいところおそれいりますが…。
なぜですの少しくらいのお時間がどうしてとれませんの年末だからといってる場合ではないでしょう裕太が苦しんでるんですよわたし一人じゃあの子を病院にだってつれてゆけませんわ

こんな粘着質な奥さん、私でも家に帰りたくない。

裕太視点で話が進むので、大人の会話がちょっとしか出てこないですが、どうやらパパは不倫(山岸作品によくあるジャンルのひとつ)か何かをしてて家にほとんど帰って来ないようです。
「まだ向こうと手が切れてないのかねえ」
「お母さんやめてよその話は!」

そして終盤、ママがまたあの一言を…。

どうしようママ心配だわ。
そろそろまた裕太ちゃんの胸の風が…」

この1ページ使ったシーンのママの白目が怖すぎる!
裕太は自分の胸の音に耳をかたむける…。どんどん苦しくなってくる…。

「ほらごらんなさい。やっぱり苦しいんでしょ。
ママの思ったとおりだわ。季節の変わり目がいけないのよ。静かに横になってなさいね。
ひどくなったらパパに来てもらいましょうね。
裕太ちゃんが可愛いパパはすぐとんでくるわ


ここのラスト4ページ、特に裕太のモノローグとママの台詞が交互になってるとこのスピード感が最高にスリリングで怖いです。
ママの「また裕太ちゃんの胸が」「パパを呼ぶわ」の繰り返しがとにかく怖い!
こんなママを「優しいママ」と信じて疑わない裕太が本当に可哀想になります。
でもこのママも自覚がないまま呪詛を吐いてるんだったらそれはそれで悲劇だ…。

「あなた! ご自分の息子じゃありませんか。
あの子が苦しんでいるというのに! あなたはそれでも人の子の親なの」


パパは僕が苦しい時だけやって来る

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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