裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

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幸福の王子

Category:山岸凉子

幸福の王子
1975年

ひいなの埋葬(花とゆめコミックス)』(白泉社)
山岸凉子作品集〈8〉傑作集2 ティンカー・ベル』(白泉社)
黄泉比良坂(ボニータコミックス)』(秋田書店)
山岸凉子全集〈30〉愛天使(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈8〉二日月』(潮出版社)
に収録。



「ぼく……しあわせ だったよ」

小悪党マーティンは財閥に嫁いだかつての恋人・コンスタンスが死んだことを知り、破産した彼女の家へ忍びこんだ。その際出会った彼女の幼い息子は、マーティンの後をついて来る。
気がふれているらしいその少年を見捨てられないマーティンは仕方なく面倒を見るが…。


破産に伴い自殺した両親に置いていかれた少年。
なぜかマーティンの後をついて来る少年は、自分の持っているものをすべて他人に与えてしまうという自己犠牲の塊のような性格でした。元々そうだったのか気がふれてからそうなったのかはわかりません。
食べ物を犬に。上着を子供に。死ぬ直前まで人々に何かを与え続け、少年はマーティンと出会って3日目に死にました。マーティンは少年の小さな棺を見てまともに生きる決意をしました。おしまい。

えーと、ぶっちゃけこういう泣ける話はあんまり好みではないのでろくな感想も書けないんですが…これに出てくる少年みたいな「他者への強すぎる救済願望・自己犠牲精神を持つキャラ」ってキャラクターとして面白いなーと前から思ってるんです。『ザ・ワールド・イズ・マイン』のマリアとか『めだかボックス』のめだかとか。こういうキャラ設定はそこそこだと単なる優しすぎる性格の人になっちゃうので、異常なまでに助けたがる!の方が面白いです。
…『いいひと。』の優二と『やさしくしないで!』の優一って設定かぶってるよな…(←どんどん脱線)。
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星の素白き花束の…

Category:山岸凉子

星の素白き花束の…(ほしのましろきはなたばの)
1986年

わたしの人形は良い人形(あすかコミックス)』(角川書店)
自選作品集 ブルー・ロージス(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
山岸凉子スペシャルセレクション〈5〉天人唐草』(潮出版社)
に収録。



「ねえ 聡子姉さんにもパパはあれをしてくれた?」

亡くなった父の愛人の娘(異母妹)を引き取ることにしたイラストレーターの聡子
初めて会う異母妹の夏夜(かや)は中学3年生。
夏夜は聡子のイラストから抜け出てきたような可憐な美少女だったが、異常なほど無口で陰気で偏食、そして男にだけはやたら愛想が良い奇妙な娘だった。


山岸作品に多そうで実はそんなにはない魅惑のロリータ話。
目に入る男全てに媚びを売り、レトルト食品と極度に甘いものしか食べない美少女・夏夜がなんとも不気味。
通りすがりのブ男にも流し目をくれるあたり、筋金入りなかんじがします。
夏夜は何ていうか、見た目は妖精なのに中身は妙に安っぽいというか俗っぽいところがポイントですね。『痴人の愛』のナオミのような。真っ白なレースとフリルの下から仄見える劣悪な臭い…。
その姉の聡子さんが「その少女趣味とは裏腹に、身長170ある大柄な女」というところが泣けます…。

最初は「美しい自慢の妹ができた」と喜んでいた聡子も、やがて妹の奇妙な行動に不安を抱きます。

「パパはあれをあたしだけにしてくれたんだわ。
夏夜はきれいきれいきれいだって!」


…合意の上どころか得意げな近親相姦。本人は嬉しそうだからいいか。
いや、父親のせいで倫理観がおかしくなってるんだからやっぱり可哀想ですね…。

この話の夏夜ちゃんは中学生、同じく「ある日やって来た居候が淫らなロリータだった」というストーリーの『蛇比礼』の虹子ちゃんは小学生なわけですが、この二人の学校生活がすげー気になります。体育とか掃除の時間とか微塵も想像できない(笑)

あ、タイトルはステファヌ・マラルメの詩「あらはれ」から来てるらしいです。

あと思ったこと。絵柄変えたあとの聡子のイラスト、人気出なそう!

鏡よ鏡…

Category:山岸凉子

鏡よ鏡…(旧題:星の運行)
1986年

鏡よ鏡…(ぶ~けコミックス ワイド版)』(集英社)
自選作品集 シュリンクス・パーン(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
山岸凉子スペシャルセレクション〈7〉常世長鳴鳥』(潮出版)
に収録。



鏡よ鏡 この世で一番美しいのは誰……

14歳のママは美人女優の羽深緋鶴。しかし雪はママに似ても似つかぬニキビ面で「子豚ちゃん」と呼ばれるほど丸々と太ったいじめられっ子だった。
ママのような美人に生まれつかなかった自分に落ち込みつつも、ママを誇りに思っていた雪だったが…。


山岸作品の一ジャンル「母娘」が、恐らく最も濃く描かれた作品。
少年マンガではしばし「父親と息子が敵対する」という構図が出てきますが、女のマンガの世界にも「母と娘はある意味ライバルなのだ」ということをテーマにした作品が昔からあります。代表的なのは一条ゆかりの『デザイナー』あたり? 他の山岸作品だと最近の『ヴィリ』がありますね。
心理学用語でいうとエレクトラ・コンプレックスというらしいです。エディプス・コンプレックスと同じくギリシャ神話由来。同性の親子の対立はギリシャ神話の頃からのテーマなのです。きっと。

7人の恋人にかしずかれる、若く美しいママ。
一方娘の雪は学校ではいじめられ、家ではママにほぼ無視される日々。
自分のルックスを悲観しているわりには、諦めずにしっかりパーマかけてオシャレして「しぐさ美人」まで目指してる雪ちゃんの向上心(?)が好きでした。

ママに「食べ方がまるでブタ」ときっついことを言われ、脂性の父親のことを聞かされた雪は自分は一生みにくいあひるの子のまま終わるのかと絶望しますが、ある日現れた、母の8人目の恋人である紳士は、雪はママにそっくりだと言います(この紳士実はママの昔の恋人なのです)。

「きみもそのうちママのようなすごい美人になれるよ。その気になればね」

しかし紳士と会っていたことがママにばれ、ママ大激怒。
娘に対して初めて真剣にぶつかってきたママは、マシンガンのように毒を吐きます。それは雪が想像もしていなかった「嫉妬」の言葉…。

「おまえが育てば育った分だけ
私はおまえに若さを奪われていくんだ」


ママが あの美しいママが この太って笑い者の私を嫉妬している
というより 私の若さに嫉妬している


緋鶴ママ、絶世の美女で恋人もわんさかいるのにすごい余裕ないです。実の娘に嫉妬する女…。

その後いろいろあって雪は壮絶なダイエットの後、ママのようにスラリとした美少女に変身します。二代にわたってロリコン紳士にプロデュースされる親子。
そして最後ではなんと雪ちゃんはアイドル歌手としてデビューしてしまいます。ええー。
正直せっかく凄味のあるエレクトラコンプレックス物語だったのに、最後の最後でなんか安っぽい印象になったなーと思ってしまった。
まあでも「美人女優」の母のライバルとしては打倒なポジションですよね。アイドル。この二人、テレビ局の廊下とかですれ違ったら乱闘騒ぎになりそうだ(笑)
ていうか紳士のプロデュース能力半端ないな…!

このお話は『白雪姫』が題材となってますが、「民話を題材としたフィクション」というにはあまりにもそのままというか、元ネタの白雪姫もこの『鏡よ鏡…』も話の根本は変わってないと思います。白雪姫も「実娘に嫉妬する母」という要素は元からあったし、白雪姫やシンデレラで母親が娘に殺されるのは女神の世代交代を表すものか、という説もあるくらいですから(シンデレラはシンデレラが実母を殺すパターンもあるんです)。
母と娘の世代交代って椎名林檎の「歌舞伎町の女王」を思い出すなぁ。

この作品でちょっと疑問なのは「神秘的なまでに美しいママ」である羽深緋鶴さんが絵では何故かそれほどの美女に見えないってとこですかね…。『鬼来迎』の奥様か『八百比丘尼』の人魚レベルの美人さんに描いてあげればいいのに、なんでこんなにオカマ顔なんだろう…。 

クリスマス

Category:山岸凉子

クリスマス
1976年

赤い髪の少年(サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子作品集〈8〉傑作集2 ティンカー・ベル』(白泉社)
黄泉比良坂(ボニータコミックス)』(秋田書店)
山岸凉子全集〈27〉クリスマス(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈12〉妖精王2』(潮出版社)
に収録。



おや 雪だ…… クリスマス・イブにふさわしい……

親戚を転々としていた少年・ジョルジュは、フォーク家に居候することになった。
ジョルジュを厄介者扱いする大人ばかりの家で、年の離れた従姉のミス・スックだけはジョルジュに優しかった。
俗世間と切り離されたような暖かい台所で過ごしたジョルジュとミス・スックの5年間は、とても幸せなものだった。


冒頭で成長したジョルジュが回想するかたちで始まります。
両親が離婚して一人ぼっちのジョルジュと、フォーク家の中で浮いていたミス・スック。世間からもフォーク家からも切り離された二人は、毎日毎日料理を作ったり菜園と花畑に水をやったりして、時の止まったような日々を過ごします。

40歳過ぎても草花と犬のバディと子供のジョルジュにしか関心を持たない、少女のようなミス・スック。結婚も仕事もせず、引きこもりがちで、手作りの煎じ薬の代金しか現金収入のない、妖精のようなおばさん…。
イメージとしては『若草物語』のベスがそのまま年取ったようなかんじ? 山岸作品のキャラでいうと『パニュキス』のネリーに近いかも。「世間擦れ」の真逆というか、弱くて純真で繊細で泣き虫で、世間の荒波で溺れ死にそうなタイプの…。(リアルでこういう人に出会うとなんか胸苦しくなります)

そしてクリスマスは木の実の入った質素なケーキをたくさん焼いて、知人や施設、果ては芸能人や大統領にまで送ります。郵便局の人に笑われても、それが二人の楽しみでした。

冬の光をあびてミス・スックは森の中の妖精のように見えました
四十を過ぎた妖精?
ええ! そうです 彼女は永遠の妖精なのです


そして森でモミの木を切り…手作りの飾りと綿でツリーを飾りつけ…
二人で丘の上に立ち、お互いのクリスマスプレゼントである、手作りの凧を揚げあいます。
この「最後のクリスマス」の凧揚げのシーンでミス・スックが言った言葉がすごく印象的で好きなんです。

「ねえジョルジュ 今やっと気がついたわ。
わたしはねえ 死ぬときに初めて神さまがお姿を現してくれるのかと ずっと思っていたのよ。
でもそうじゃないのね。わたしたちは毎日神さまにお会いしてるのよ。
今こうしてこの丘で あなたとバディと凧をあげながら
この美しい風景の中にいることが 神さまにお会いしていることと同じなのよ。
このことを忘れないようにしましょうね ジョルジュ」





*****
追記
実はこのお話はカポーティの『クリスマスの思い出』が原作らしいです。
よく見たら最後のページの下に小さく「A Chrismas Memory Truman Cpote」って書いてあったー。

二口女

Category:山岸凉子

二口女
1992年

甕のぞきの色(プリンセスコミックス)』(秋田書店)
甕のぞきの色(秋田文庫)』(秋田書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈6〉夏の寓話』(潮出版社)
に収録。



「3高なんていってる女性もいるらしいけど くだらないわよあんなこと」

「3高なんかにはこだわらない」イラストレーターの由良子(ゆらこ)は、今年こそ結婚しようと次々にお見合いを繰り返すが、気に入る男性が一人もいない。
由良子の姪・紫(ゆかり)はお見合いを偵察するうちに、由良子の女のエゴ、そしてとある男のエゴを知るのであった。


「気持ちだけは若いイラストレーターの叔母」&「しっかり者の姪」という、『あやかしの館』的な組み合わせの二人が出てくるお見合いマンガ。3高とか最近聞かないなー。
「30過ぎのイラストレーターの女性がお見合いする話」といえば『朱雀門』もそうですね。この作品の由良子さんは、お見合いをたくさんしていくうちに、言葉とは裏腹な自分の本当の気持ちに気づきます。というか、紫ちゃんにつっこまれます。

「正直におっしゃい。あなたはね 3高のうちひとつでも欠けていれば気に入らない人なのよ。
おまけに決定的な理由は3人ともハンサムじゃないということなのよ」


「そうなのよ。わたしってすっごい面食いだったのね。
でもって目一杯条件に左右される女だったのよ」


由良子さんは口では「人間は中身よ」と言っていたものの、自分でも自覚なしにハイスペック男子(←今風に言い替えてみました)を求める女でした。
「自己(おのれ)を知りなさい自己を! 幾つなのよ」
しかしタイトルの「二口女」が出てくるのはもう少し先の展開。
3高かつハンサムという虫のいい条件にピッタリ合う男性が見つかり、舞い上がる由良子。
しかしその男はとんでもないことを言い出したのでした。

「妻がキャリアウーマンならそれでいい。家庭的な女は女で他にいますからね」
「歴史を振り返っても成功した男は何人もの女をかかえていたんですよね」
「経済力が許せばそれも充分できることですからね」


この発言にはさすがの面食い由良子さんも怒りました。お見合いの席で「正妻の他にも数人の女を囲うつもりですよ」とか言われたらそりゃ怒ります。ていうかこの男がすごい。
「世の男性は皆こう考えているのだけどずるいので隠している。でも僕は嘘はいやですから
無駄にバカ正直! …この人、この表裏のなさを武器にして、打算的な女なら複数囲って幸せにやっていけるかも知れません。

「あれが男の本音か」と落ち込む由良子さんを、二十歳そこそことは思えない渋い例え話で慰める紫ちゃん。

「めしを食わない女なんてこの世にいるはずないのにそれを望む男と
愛人の存在に平気な女がいるはずだと考える男は同じなのよ。
自分にとって都合のいいことだけを望む男は 結果的には二口女を呼び込むことになるのよ」


「…とするとわたしも同じだわ。めし食わぬ女房を望んだ男と同じだわよ。
自分に都合のいいことばっかり 3高にハンサムなんて…」


お見合いを通して自分自身を知る。このへんはやっぱり『朱雀門』に似てます。
そういえばよしながふみの『愛すべき娘たち』にもちょこっと似たかんじのお話入ってたなー。なんか女性作家が描きやすいプロットなのかも、お見合い物語。

「二口女」は全国にいろんな説があって、紫の言うように「めしを食わない女しか嫁にもらわないと豪語する主人公」という形もあれば、「単にケチな主人公の家に勝手に女房がやって来る」という形もあり、後者の方は「現実離れした嫁取りの条件」を積極的に出してるわけではないのでそれほど悪い人ではないかと。
おそらく話者によって「めし食わない嫁をもらう主人公」と「貞淑な妻の恐ろしい裏の顔」、どちらを強調するのかが変わってくるのでしょう。…って、すっかり民話の話になってました。

赤い髪の少年

Category:山岸凉子

赤い髪の少年
1973年

赤い髪の少年 (サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈13〉妖精王3
に収録。



「なぜ彼のことをにんじんと呼ぶのです? 髪が赤いからですか?」
「あの子の心ときたら髪よりすごい色なんですのよ」

大学院生のエマニュエルは従兄の息子のステファヌと出会う。
「にんじん」と呼ばれるステファヌは母親から虐待を受けていた。


ジュール・ルナールの『にんじん』を元に描かれた作品です。
夫との不仲による苛立ちを息子にぶつける母親がひどい! ステファヌの失くし物をこっそり隠して「さがしておいで。見つけるまで家に入れませんよ」とか、楽しみにしてた芝居に一人だけ行かせないようにしたりとか…。
本当に実の母なのかと疑うほどの陰湿な虐待。暴力は振るわなくとも、こういうネチネチしたいじめも充分酷いですね。他に兄姉が二人もいるのに、なぜか末っ子のステファヌ一人が標的になっているあたり、リアルです。父親も何とか言ってやれよ…。

どうしてこんな目にあわなくちゃいけないんだ
ママはぼくが憎いんだ 憎いんだ!


大好きだったはずの猫を発作的に殺してしまい、「だれもぼくを愛してなんかいない」と泣きじゃくるステファヌを暖かく受け止めるエマニュエル。いい人です。目指せ『籠の中の鳥』でいうところの人見さんのポジション。
自分の悲しみを自分より弱い者(猫)にぶつけて殺してしまった今のステファヌと、ステファヌのママは同じなのだとエマニュエルは言います。

「悲しみや苦しみをうまく処理できない人っているんだよ。
きみはあのネコが好きだっただろ。だけどあのネコはきみをうらんじゃいないと思うよ。
きみの悲しみを知っていただろうから きっときみを許してくれてるよ。
ママだってきみを憎んであんなことをするんじゃないんだ。
こうせざるをえないんだよ。悲しい人なんだよ」


「ママのこと まだよく理解できないけど…
でも おじさんがぼくを愛しててくれるんだったら……
それだけをたよりにぼく やってみるよ」


小説の『にんじん』には、このエマニュエルおじさんという「救い」は出てこないようですね。
原作読もうかな。

ラプンツェル・ラプンツェル

Category:山岸凉子

ラプンツェル・ラプンツェル
1974年

ティンカー・ベル(サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
シュリンクス・パーン(ロマンコミック自選全集)』(主婦の友社)
山岸凉子作品集〈8〉傑作集2 ティンカー・ベル』(白泉社)
山岸凉子全集〈29〉ダフネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈11〉妖精王1』(潮出版)
に収録。



「マ ママン あたしはみにくいの?」
「そうよミケティ 外にでたらころされるわ」

植物学者のオクターヴは、塔の中に住む美しい少女ミケティと出会う。
ミケティは母親に「おまえは醜い」と言われ続けながら育てられていた。


山岸先生初期の親子愛憎もの。
初期なのでまだ絵は少女マンガしてますが、母親が娘に「おまえは醜い」という暗示をかけ続け、小さい頃から塔の中に監禁して育てる…というダークな設定はさすが山岸先生です。

「おまえをかわいいというのはママンだけよ。
おまえを愛しているから
ママンだけがおまえをかわいいといってだきしめてあげるのよ。
ほかのだれもおまえをだきしめてくれないのよ」


自分が世界で一番醜いと信じ込んでいるミケティ(ラプンツェル)の元にオクターヴ(王子さま)が現れ、「きみは本当は誰よりも美しいんだよ」と言って暗示を解いてくれるという比較的単純なストーリーながら、
昔、自分の婚約者を奪った美しい妹とミケティ(本当はその妹の娘)を重ね合わせ、「憎くてかわいい…あたしだけのミケティ」と愛憎入り混じった感情をぶつける母親の死に様はなかなかです。

美しすぎることは もっとも幸福になるか
もっとも不幸になるかの どちらかなのだから
あたしはそのどちらも おまえにのぞみはしない!
幸福になること…も!


オクターヴは「どこの世界に自分の子を醜いと言って育てる母親があるもんか。ミケティは妹さんの子なのですね」と言ってますが、今の山岸先生だったら産みの母親でも平気で描くと思います。
白雪姫の母親だって原話では実の母だし。

かぼちゃの馬車

Category:山岸凉子

かぼちゃの馬車(旧題:「12時の時の精」)
1974年

ティンカー・ベル(サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
シュリンクス・パーン(ロマンコミック自選全集)』(主婦の友社)
山岸凉子作品集〈8〉傑作集2 ティンカー・ベル』(白泉社)
山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈9〉鬼子母神』(潮出版社)
に収録。



シンデレラストーリーを夢見て遠縁のトレヴァス家にやって来たのに、いとこで当主のシリル卿の小間使いにされてしまったクラシニーラ
シリルの側にはいつもピエロと呼ばれる男の子がいて…。


山岸凉子初期のラブコメ(?)
昔の山岸作品っぽいロン毛の美形シリルと、可愛い系の男の子ピエロ。
ピエロを遊び道具のように扱うシリル坊っちゃんに怒り、道化役のピエロが気になってしまうクラシニーラですが、最後には愉快などんでん返し。
リアル調のかぼちゃの馬車がシュールです。

「罰はなにがよいかな。そうだ キスさせること!」
「ええっ あたしと!」
「どうしてあんたとなのさ。こっち(ピエロ)とだよ」
「え?」
この昔の少女マンガならではの何気ないBL、時代を感じますね。

「王子さまにピエロはつきもの」という台詞はピンとこない人が多いかも。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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