裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

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エロマンガ・スタディーズ

Category:マンガ・創作関係



マンガ研究本の中でも珍しい「エロマンガ」の研究本。
第一部はエロマンガの歴史、第二部はエロマンガのジャンルについて書かれています。
エロマンガの研究本なんて滅多にないし、私にとって大いに興味のあるジャンルなので、これは読んでおかねばならんだろうと思って買ったんですが…何ていうか、一言で言うと、文章が小難しい!

>エロ漫画の歴史は決してリニアではない。

>エロ漫画に関わるミームはアルタミラに始まり、3万年にわたって文化の遺伝子プールに蓄積されたということになる。

>ジャンル的なクラスター

>多形的なエロスのミームが手塚漫画ですでに用意されていた

>当時のファンダムがペドファイルの巣窟だったわけではない。

>イデアはイコンを読み解くことによって、あるいは読者が脳内補完することによって、さらに漫画作品内におけるイコンの役割を解読することによっておのずから明らかになっていく。

>ペドフィリアックな欲望は、他の欲望同様にあらゆる読者のチップセットの中に含まれている。

>美少女とロリコンにかかわるイデアとペダントリーのミームが消えたわけではない。

>巨乳はエロ漫画のデファクト・スタンダードである。

>トランスセクシュアルやトランスヴェスティズムを奥深いところで内包している

>異性に対するアンビバレントな感情や、マチズモもあるだろう。

享楽と乱淫を描きつつ、バタイユ的なタナトスの領域まで接近する。


この無駄に回りくどい言い回しとカタカナ用語の多さ! 私がバカだからなのかも知れませんが、読み進むのにすごく時間がかかるぞ!
もう少し簡単な言葉で書くことはできなかったのか?と思います。元々エロを哲学として考えてる研究者ならいざ知らず、私のような、エロマンガに興味あるからちょっと読んでみっかみたいな人には非常に取っつきにくい文章です。テーマがテーマだし、もっと軽い気持ちで読みたいよ…。
(逆に言えば、「エロマンガ」という一般的に俗で下劣で安っぽいものと思われているものを小難しく語る…というギャップの面白さはありますが)

そんなわけで著者の文体が肌に合わず、ちゃんと全部読んだものの、内容を理解できたかどうかは微妙です。
なので細かい感想も書けないんですけども、この手の文章がすんなり読める人には面白い本だと思います。図版も多いし。
特にジャンル「巨乳」の章は突き抜けててアホみたいで素敵です。
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マンガ脳の鍛えかた

Category:マンガ・創作関係

photo
マンガ脳の鍛えかた
門倉紫麻
集英社


ジャンプ人気マンガ家37名、総計15万字激白インタビュー集

タイトルを見た限りではハウツー本のように見えますが、中身はジャンプのマンガ家さんへのインタビューが主。「ジャンプの作家さん自体に興味がある」かつ「インタビューされてる作家さんの作品を読んでいる」人じゃないと面白くないかも。要するにジャンプに愛着のある人向け。
マンガ家さんたちがどういう気持ちでマンガを描いてるのかが少しわかって私は興味深く読めました。
作家の仕事場とか道具とか本棚とかの写真もいっぱい載ってるし(しかも全部カラー)、特にネームとかプロットの写真がたくさん載ってるところはありがたいです。プロの人のネームとか見るの大好き!


第1章 総論編

大御所作家へのインタビュー。
本宮ひろ志、中井義則、嶋田隆司、鳥山明、高橋陽一、徳弘正也、車田正美、荒木飛呂彦、森田まさのりの9名。
「かっこいい絵」を突き詰める本宮ひろ志、「気持ち悪さ」が支持される中井義則…。ていうかキン肉マンの作者「ゆでたまご」が中井義則&嶋田隆司の二人ユニットだということをこの本で始めて知りましたよ。ゆでたまごが中学生の時にノートに描いてたマンガの写真が載ってて面白いです。物持ちいいなぁ。
高橋陽一:ネーム段階のキャラの顔と完成原稿のそれとあんまり違いが…いや何でもない。
荒木飛呂彦:この章で一番興味深いのはやっぱりこのお方のインタビュー。顔出てますが相変わらず若々しいです。『スティール・ボール・ラン』のネームがチラッと読めるんですが、キャラとかほとんど描いてないのになぜかすごくジョジョっぽい雰囲気が伝わってくる!
だって他は鉛筆書きなのになぜか「ゴゴゴゴゴ」だけは黒ペンでしっかりと描き込まれているもの。
マンガ脳1
「“謎”の探求がアイデアの基本です。知りたいと思うことが、マンガを描くきっかけになる。何でもいいんですよ。『重ちーが新宿に行くのはなぜかというと……』とかね」
なるほどそれは読みたいw
鳥山明:この章の注意点・鳥山明と車田正美のインタビューだけ超短え。ていうかQ&Aのみ。質問と回答が短すぎるのに相まって、鳥山先生の答えが天才すぎてほとんど参考にならないのがすげぇと思いました。
Q:ご自身の作品で気に入っているところ、好きなところがあれば教えてください。
A:自分の作品はなぜかあまり好きではなく滅多に読みませんが、強いて言うなら読みやすそうという部分。
Q:これまでのマンガ家生活を振り返ってご自身がどう変化してきたと思われますか。
A:マンガはほとんど読みません。マンガ家という職業もあまり好きではありませんでした。素晴らしい仕事だと気づいたのは比較的最近のことです。
Q:ストーリー作りで気をつけていることをお教えください。
A:サラリとした読み味、不必要に感動させないこと。
ク、クール! 真似できなそー。こんなドライな人からDBは生まれたのか…。でもDBには充分感動させられましたよ…。ピッコロさん死のシーンとかベジータ自爆のシーンとかミスターサタンの全てとか。



第2章 技術編

現在ジャンプで連載中の(インタビュー当時連載中だった)作家さんへのインタビュー。
作家さん別にインタビューテーマが決まっていて、例えば岸本斉史は「打ち合わせ」、小畑健は「作画」といった具合に、それぞれテーマを絞ったインタビューになってます。
しかし、この企画で当てられたテーマと自分の認識してるその作家さんの特性がズレてた場合「この作家にそれを聞くの?」「この人にあれを聞いてよ…」「この作家の真骨頂はそこじゃないんじゃないか?」と、なんかモヤモヤしてしまうかも知れません。松井優征が「オリジナリティ」とか矢吹健太朗が「女の子」なのはすごく合ってると思いますけど。本当は全員に全テーマ聞いてほしい…。
マンガ家さんとテーマ一覧↓
・岸本斉史:打ち合わせ
・西義之:素材
・星野桂:世界観
・稲垣理一郎:原作
・松井優征:オリジナリティ
・久保帯人:キャラクター
・矢吹健太朗:女の子
・うすた京介:ギャグ
・空知秀秋:セリフ
・島袋光年:ジャンル
・天野明:ペン入れ
・村田雄介:臨場感
・小畑健:作画
・大場つぐみ:原作
・尾田栄一郎:カラー原稿
・秋本治:連載

稲垣理一郎:『アイシールド21』のキャラはヒル魔→栗田→セナの順に浮かんだという話が面白かった。やっぱり個性の強いキャラから先に出てくるんですかね。個人的にはヒル魔的主人公が反則しまくる外道スポーツマンガの方が読みたかったりする。
原作のシナリオプロットはパソコン打ちの文字のみ。セリフとト書きと「オオオオオオオ」がごちゃ混ぜというスタイルは私と同じだなー。これ読んでるだけでもけっこうマンガの情景が浮かんでくるもんですね。
松井優征:『ネウロ』を読むたびにこの人いったい何考えてんだと思っていたのでインタビューには満足!
松井先生は絶対頭おかしい(いい意味で)と思っていましたが、天然でいっちゃってる人ではないのですねー。「なるべく違った目線で物事を見ようと努力はしています」
でも意識してあれほどアレな作品を描けるなんて…この人、すごく左脳と右脳のバランスがよさそう…。
「男性が理想とする女性キャラはわざとらしくなってしまう」というお言葉がさすが。私も弥子ちゃんはジャンプヒロインの中では相当キャラ立ってると思います。全キャラ好きだけど。担当さんに「かわいいキャラを作ろう」と言われて作ったのがあかねちゃんとか、ほんと松井先生のセンス大好きです。
「カキフライは、いいですよね。もう、美しいじゃないですか!」
久保帯人:稲垣先生と同じく、最初に浮かんだキャラは主人公一護ではなくルキアらしい。やっぱりキーキャラは制作段階でもキーキャラなのかしら。主人公って無難なキャラなことが多いから後から考えられるしね…。久保先生が音楽好きなのは知ってたけど、まさかiPodにBLEACH用のプレイリスト・シーン別のプレイリストがあってキャラクターごとのテーマ曲まで決まってるとは…。あのオサレな作風はそういう制作環境のせいか!?
「『尸魂界篇』に入った時くらいから『自分はこういうのが描きたかったんだろうな』っていうことがわかってきた」
破面篇はどうなんだろう…。
「何を描くべきか、何を描かないべきかが重要。たとえば背景だったら、あえて描かずに白く見せることが大事だったりする」
BLEACHは何かというと「背景白すぎ」って言われてるけど、個人的にはあの白さはそんなに悪くないと思うんですよね。ただストーリーの進みの遅さと一緒になると薄く見えちゃうだけで(ワンピースと足して二で割ってほしい)。絵と絵の見せ方はすごい上手いと思いますよ。しかしこの人の描き方って一枚絵向きなのかも知れないなぁ…。
矢吹健太朗:すごいほんとに女の子キャラの描き方の話しかしてないw
・黒目の割合が多い方がかわいく見える
・目が顔の上の方にあると大人っぽくなってしまう
えっと、それは…言われるまでもなくけっこう当たり前のことのような…。
ネームのラフ絵かわいい!
マンガ脳2
うすた京介:「“否定”ではなく“説明”のツッコミが好き」
すごいわかるw クマの着ぐるみ捨てる話の「そしてもう寝たー!」とか好きw
空知秀秋:久保御大が背景もセリフも「削る」ことを突き詰める一方で、空知先生は「必要なムダ」の極意を身につけていた!
「普段僕たちがしゃべっている時って、『アレ、アレが』みたいなムダな言葉がけっこう入っているものなのに、文字にする時になると、つい削ってしまう。でも意識的にそのムダなものを入れると、ぐっとリアルなセリフになる気がして」
いいとこに目をつけるなー。私も最初銀魂を読んだ時、あのセリフの生っぽさは衝撃でした。銀魂が有名になってから他のマンガでも「妙にリアルっぽいセリフ回し」が増えた気がするし、「マンガセリフ界」の新たな世界を開拓したのでは。
「マンガのキャラって、基本的にちょっと浮いた存在じゃないですか。手が届かないというか……舞台俳優みたいな感じ。そのうえ台本に書いてあるような堅いセリフをしゃべらせたら、よけい遠い存在に感じられてしまう」
私が空知先生のマンガの登場人物に感じる「なんか近所の人」みたいなすごい親近感はこういう考えから生まれたんだなぁー。マジでそのへんにいそうだもん。
天野明:天野先生はテーマ何になるんだろう?と思ったら「ペン入れ」か。ギャグ路線からバトル路線になった際に意図的にペンでの描き方を変えた…という話でした。確かに今のジャンプの中で一番繊細な線で描かれてるのはリボーンかも。
「線を細くして、線と線の間をあけずにしっかりつないで描くようにしました」
しかし最近は線が美しすぎて少女マンガみたいになってる気が…。個人的にはヴァリアー編あたりの、太すぎず細すぎない線が一番好き。
最近では「細く美麗な線のギャグマンガ」とか「太く荒い線のシリアス」も探せばけっこうあるよー。
村田雄介:「くずし顔を今風に!」って張り紙が…。
村田先生と小畑先生は二大ギャグ顔苦手画伯という印象があるなぁ。
大場つぐみ:「サイコーと亜豆にはあり得ないくらいの純愛をさせたい」
うーん…私正直バクマンはその二人の恋愛パートさえなければ良いのにと思っているのですが…。
尾田栄一郎:やたら表紙とか巻頭のカラー原稿を描く機会の多い尾田先生。テーマは「カラー原稿」。
私はワンピースは読んでなくて、読んでない(読めない)理由のひとつが「描き込み多すぎて疲れる」なのですが、尾田先生が本当に絵が好きなことは作品からもインタビューからもビシビシ伝わってきますね。
「楽しいんですよ。僕は元々絵が描きたくてマンガ家になったので」
「描き込みが増えてますよねえ(苦笑)」
「ちょっと目が悪い人には申しわけないっていうぐらい、描き込みで画面が黒くなってると思います(笑)」

自覚なさってるならしょうがない…か…。
「新シリーズ開始にあたって作った、舞台やキャラクターの設定を細かく描き出したノート」
うわ見てえこれ…!
マンガ脳3



第3章 資料編

1マンガ家1ページの短いQ&A形式。
質問は「1.作画時に使う道具」「2.マンガを描く際に大切にしている信念」「3.影響を受けた作品」「4.今後、マンガはどのように変わりますか?」の4問。Q4の解釈と解答が千差万別で面白い。
マンガ家さん一覧↓
・高橋よしひろ
・宮下あきら
・萩原一至
・冨樫義博
・井上雄彦
・梅澤春人
・つの丸
・藤崎竜
・和月伸宏
・武井宏之
・許斐剛
・河下水希
冨樫義博:本当は2章でインタビューしてほしかったんですが…残念。
Q.今後、マンガはどのように変わりますか?→「(前略)あとマンガを勘違いした方向で持ち上げたり下げたりする連中がいるので、描いてる方がそれに巻き込まれて間違ったところへ行かないかが心配ですが、余計なお世話らしいのでがんばってください。あ、がんばれって言うと怒る人もいるのでやっぱりやめます
冨樫らしいw
許斐剛:Q.今後、マンガはどのように変わりますか?→「(略)マンガの基本は『キャラクターの魅力』ということは不変だと思っています(略)」
この人、わかってらっしゃる…(自分の作品の売りを)。

幻想ネーミング辞典

Category:マンガ・創作関係



私がマンガや小説を書く時、今までは『最新ヒット商品をつくるネーミング辞典』という本を参考にキャラの名前やら用語やらを考えていたのですが、書店でこの本を見つけてからはこっちを使ってます。

言語は英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、ラテン語、ギリシャ語、アラビア語、中国語の10ヶ国語。
「本書について」では「日本語の単語に対応する10ヶ国語の単語を収録している」としか書かれてませんが、この本はかなりマンガを描く人向けに作ったのだと勝手に思ってます。

だって
覚醒、傷跡、禁忌、降臨、死神、召喚、閃光、復讐、不屈、冷酷、煉獄、堕天使、五芒星、錬金術、
隊長、騎士団、暗殺者、妖術師、略奪者、霊媒師、反逆者
…と
マンガ(もしくはラノベ)を描く上で使えそうな単語がズラリ勢揃いですよ。

「戦い」「神話・伝説」のカテゴリーがやたら充実してるのもナイスです。
カテゴリー「関係」での順序が、上から敵、味方、好敵手、師匠、弟子、友達、仲間、相棒、一行、隊なあたり、完璧に狙ってると思いました。
(その後にようやく恋人、家族、父、母などが出てきます)

便利なのは巻末の索引。
日本語からの索引はもちろん、各言語の音からもあいうえお順で引けるので、「なんかヴァ行で始まるかっこいい名前付けたいなー」なんて時に役に立ちます。

あとちょっと楽しいのが、マンガに出てくる単語を見つけるお遊び。
特にイタリア語の単語はジョジョとリボーンのおかげで知ってるものがけっこうありました。
アルコバレーノとかポルポとかネルフとかゼーレとかガルガンタとかレスレクシオンとか、すでに他のマンガで使われてるものには丸をつけてカブりに気をつけましょう。

見開きで10ヶ国語も載ってるので、ただ眺めてるだけでもけっこう楽しいです。
「拳」ってスペイン語では「プニョ」っていうんだーとか
「深紅」ってドイツ語では「プルプルン」っていうんだーとか
「瞳」ってロシア語では「ズラチョック」なんだーとか
パタリロのマリネラ王国の元ネタってもしかして「マリネロ(スペイン語:船乗り)」?とか
デネブのデネブっぷり半端じゃねえなとか。
「死神」のドイツ語「ゼンゼンマン」がなんか好きです。タイムボカンシリーズに出てきそうだ。

この本の残念なところはカタカナのルビが発音に忠実すぎること。
日本では一般的に「バーミリオン」と言われてる単語をネイティブっぽく「ヴェミーリエン」とか書かれると混乱します。辞書じゃないんだからこんな書き方しなくても…。

マンガの読み方

Category:マンガ・創作関係





マンガは「記号」の集大成だ!
マンガには、「ご都合主義」にのっとった「読み方の暗黙のルール」が無数にある



線、記号、吹き出し、コマ割り、形喩、音喩、文法……
普段何気なく読んでいる「マンガ」というものの要素ひとつひとつを徹底的に解剖した本です。
有名作品を例に挙げ、とにかく分析・解説した200数ページはまさにマンガ表現事典。
この本はマンガ研究者ならとりあえず最初に読んでおくべき本だと思います。
ひとつひとつの項が短いので読みやすいです。絶版なのが惜しい。


第1章 マンガとは「線」である


【はじめに「線」ありき】マンガの世界観を決定する「線」の縦横無尽(斎藤宣彦)

いろんなマンガ家の「線」を見ながら、マンガ家たちが生み出してきた光と闇の表現を探ります。「線」と言いながら一部ベタの話もしてますが。
『デビルマン』の不動明の髪が画面を覆い尽くして真っ暗闇になるシーンは上手いなー。
驚いたのは冨樫が「速度をもった細く流れるような線で世界を活写」とか言われてたこと。そんな時代もあったっけ…(遠い目)。

【道具とタッチの表現変遷史】個性的な「線」を生み出すのは、時代か、道具か?(竹熊健太郎)

いろんなペンで描かれた作品の絵を元に、様々な描き道具を解説。
永井豪とか鳥山明とか、やっぱりGペン派は多いですね。
「全て鉛筆描きのマンガ」というものがあったことにビックリ。こすれたりしないのかな。
製図ペンで描く人がひさうちみちお以外にもっといてもいいと思う。

【マンガ描線原論】一本の線からマンガの「原理」を読み解く(夏目房之介)

ただの「線」にも意味がある。『楽しい線』や『悲しい線』もある…という話が面白い!
感覚の結びつきの話は大好きです。「モダール間現象」だっけ? 線も奥が深いなー。


【少女マンガ】理想の線を求めて(杉本綾子)

少年マンガとは違う「華やかさ」と「繊細さ」を出そうと、みんな試行錯誤していた少女マンガの「線」の変遷。その発生、発達、定着、多様化…そして少年マンガへの影響など。
繊細な心理描写が主なせいか、どんどん線が細くなっていく少女マンガ。その中で高河ゆんの線は個性的な感じがします。
しかし昔の少女マンガの巻き毛率の高さってすごいな。

【マンガに「デッサン」は必要か?】(竹熊健太郎)

マンガ家は何かにつけて「デッサン力」って言うけど、そんなにデッサンは大事か? マンガにおけるデッサンって何?という話。
『サルまん』に出てきた「マンガのキャラクターを無理矢理デッサンしてみた」が好きw
「絵画的なデッサンをマンガで発揮しても気持ち悪いだけです」
やっぱり手塚治虫の「マンガの絵は一種の文字」が正解だと思う。
「『マンガの絵』はあくまでも絵のように見えるだけで、本質は絵画と文字・記号の中間領域の表現だということに注意していただきたい」

【スクリーントーンがマンガにもたらした「革命」】(夏目房之介)

「線」と「ベタ」しかなかったマンガに「スクリーントーン」というものが登場した「面の表現」革命の話。
いろんなマンガ家の描いた「海」の絵が出てきて面白い。高野文子のが好きです。トーン登場前の手塚治虫のベタを流したような海もこれはこれでいいじゃん。



第2章 マンガという「記号」


【コマにおける「主体」と「客体」】マンガのコマは何からできているか?(竹熊健太郎)

『巨人の星』の1コマの中に詰まっているものを分解して解説。
吹きだし・台詞・人物・音喩・形喩(形容)・形喩(動き)…。こんなにもたくさんの情報が詰まっているものを普段スラスラ読んでいるのですね、私たちは。
こうやって見るとやっぱりマンガって一種の言語ですね。そういえばマンガというものを読んだことのない私の婆ちゃんはマンガの読み方がさっぱりわからないって言ってた。

【ひと目でわかる「形喩」図鑑!】漫符と効果の具体的な使用例検証120(竹熊健太郎)

万札の諭吉さんの額に「血管マーク」を描き足しただけでなぜ怒ってるように見えるのだろう?
この26ページに渡る「形喩・漫符図鑑」が面白い! ちゃんと「水滴(水・汗・涙・唾液・鼻水)」のようにジャンル別になってて便利です。
『動物のお医者さん』の「車に血管(怒り)マーク」がついてるのが好きだったな。
しかし今時歩くキャラの足下に「蹴りだし漫符」を描く人はいないと思うぞ…。


【「汗」の表現に見る「形喩」の進化論】マンガの「お約束」は時代とともにこう変わった(夏目房之介)

電球に「汗マーク」を描き足しただけでなぜ焦ってるように見えるのだろう?
上の「形喩図鑑」よりもう一歩踏み込んで「汗」という形喩だけを取り上げてます。頭の周りに飛ぶ汗。髪の毛にかくありえない汗。吹きだしから出る汗。
「元来、汗は運動時に流れる物理的な分泌液でしかない。(中略)形喩の意味も使われ方も刻々と変わっているのだ」そういえば不思議ですね。
なんかもう漫符・形喩をひとつひとつ時系列で収集したくなってきた。

【マンガの真骨頂「形喩」とは何か?】マンガ的記号の分類の試み(夏目房之介)

そもそもマンガとは、すべてが記号である。にもかかわらず形喩は、より強い記号性をもっている。分類を試みれば、形喩はいったいどこに位置し、どんな役割を負っているのだろう?
大正とか昭和初期あたりの古いマンガの記号例が載っていて面白いです。「頭から湯気」は今では使わんなー。
しかし何かにぶつかった時なんかに出る「星」の形喩は「頭への衝撃を脳が光情報と誤認して錯覚する星」という説もあるから、果たして「実際は目に見えない形喩」のうちに入るのかどうか。

【吾妻ひでおの壊れた世界】(夏目房之介)


吾妻ひでおの掴みどころのないキャラ、白目のキャラ、無表情な哲学的先輩……これは、マンガに定着した形喩の意味を否定することに立脚した壮大な試みでもあった。
せっかく記号やら形喩が発達して戦前マンガとは比べものにならない「表情豊かなマンガ」が描けるようになってきたところであえて「空虚」を描こうとした吾妻ひでおのキャラ作りは興味深いですね。
無口・無感情・無表情な「綾波系」がどの作品にも一定数いるのもこのへんが何か関係ある気がするんです。何だろう、乏しい表情に飢えているとか? わからん。

【マンガは「性器」をどう表現してきたか?】(竹熊健太郎)

「性器の直接描写」が法律で禁じられているために様々な工夫をするマンガ家たちの話。
シルエットで描いてみる、わざわざモザイクをかけてみる、ピストルにしてみる、記号で描いてみる、いっそノッペラボーにしてみる…など、マンガ家さんたちの苦労がしのばれて面白い。ぺぽかぼちゃ!



第3章 「言葉」がマンガを規定する


【擬音から「音喩」へ】日本文化に立脚した「音喩」の豊穣な世界(夏目房之介)

オノマトペを研究してる私としては非常に興味深い話です。
日本のオノマトペって世界に誇れる豊かさなのに研究してる人が少ないのが残念。特にマンガのオノマトペは口語や小説なんかより自由度が高くて種類が豊富で面白いんです!(力説)
銃声を最初に「バキューン(キューンは残響)」で表した人と、無音状態に「シーン」と音を入れた人と、ショック音を「ガーン」で表現した『巨人の星』の作者は褒めてあげたい。
 
「びくともしない」を略して「びくとも」という擬態語のようなものを作り出す…という手法はこの先増えると思います。元々日本語のオノマトペって一般語彙との関連がかなり強いし。
マンガ家さんには「何でもオノマトペになる!」っていう気持ちでいろいろなオノマトペを開発して欲しいなー。

【吹きだしは何を伝えているか?】形を変える意味まで変わる謎の情報風船(竹熊健太郎)

マンガの台詞に欠かせない「吹きだし」の話。大きく「肉声型」「非肉声型」のふたつに分類されます。
吹きだしの形もけっこう種類あるんだなー。「電話越しの声」の吹き出しを最初に考えた人は褒めてあげたい。
山岸凉子の「角丸長方形吹きだし」は載ってなかった。

【原作はいかにマンガに変換されるか?】マンガの背景に存在する「目に見えない言葉」(近藤隆史)

小説版『巨人の星』と原作マンガ『巨人の星』を例に、言葉と絵の関係を探ります。
編集者である近藤隆史の「ストーリー作りは下手だけど絵は上手い新人に、ちゃんとしたストーリー(原作)を与えたのに、マンガにした途端何故かつまらなくなった」という経験談が面白かったです。私も最近「原作つきマンガ」というものの作り方が気になってたんですが、やっぱり「文字だけで書いてあったもの」を「マンガ」という形にするまではすごい大変なんでしょうね。だって文法が違うもの。多分スワヒリ語を日本語に翻訳するくらい大変ですよ。

【言葉と絵の迷宮】マンガにおける言葉と絵の奇妙な関係(夏目房之介)

「絵」と「言葉」がひとつのコマに混在している「マンガ」というものの複雑さ。どれを絵で、どれを言葉で伝えるべきか?
台詞、モノローグ、ナレーション……意外と作家の個性が出るもんですね。『ちびまる子ちゃん』のナレーションツッコミは画期的だったよなー。
作者の手書き文字がゴチャゴチャ書いてあるのは好き。


【マンガ表現から見た編集者の役割】(小形克宏)

編集者の語る編集者のお仕事。写植の話が多めです。
単行本も出版社によって写植やアミが変わってたりするんですね。古い手塚作品などの版元別比較が見られます。
場面の至る所に「!?」が出るのは『特攻の拓』限定じゃなくて、マガジン作品全般で頻発される演出だった気がしますが。

【少女マンガと「少女小説」の表現】(杉本綾子)

ひとつのストーリーのマンガ版と小説版の比較が面白いです。
タイトルは「少女小説」となってますが、最近流行りの「ケータイ小説」の構造にも通じるものが。
あれも小説というよりは「マンガのリズム」で書かれた、読者の頭の中で物語を構築してもらうための、「お話の素(プロット)」に過ぎないんじゃないのかなあ。だから対象年齢外の人の言う「文が下手くそだ」というツッコミは的はずれだと思う。



第4章 マンガをマンガにしているのは「コマ」である


【コマの基本原理を読み解く】読者の心理を誘導するコマ割りというマジック!(夏目房之介)

物語マンガはコマ割りされて初めてマンガとなる。
落差による圧縮と解放の原理、時間経過という機能、読者の目線を誘導する……コマ割りの役目っていろいろあるから、研究しだすときりがないですね! マンガ史上最大の発明ですよマジで。
例として出てくるマンガのコマ割りがどれも素晴らしくて勉強になります。石ノ森章太郎コマ割りうめー。日常的コマ割りなら高橋留美子。コマ割りの上手いマンガ家さんは本当尊敬します。
しかし少女マンガのコマ割りが少年マンガより複雑なのはアクションより心理描写が多いからなのか? 少年マンガに比べてレイヤーの重なり方半端ない。


【「間白」という主張する無】コマの隙間には「時間」が詰まっている!(夏目房之介)

マンガの「コマとコマの隙間」についてのお話。上の項と同じテーマのようで微妙に違います。
この項も例作品のコマ割りが素晴らしいです。特に『めぞん一刻』の対面シーンは、最初見た時目からウロコが落ちたっけ。あと『陽だまり』の「コマの瞬間圧縮」の手法もすごい。「間白」を使いこなせてこそマンガ家ですね。


【マンガ文法におけるコマの法則】コマとコマ、コマとページの関係と分類(夏目房之介)

コマには文法ともいうべき法則性があるはずだ。読者の心理にのっとったコマの文法を読み解いてみる。
コマの圧縮・解放、枠ありのコマと枠なしのコマはどう違うのか、コマで表す時間と空間…。
ここまで来るともう「コマ」もひとつの学問ですね。図版がすごいことになってますw


【仮説・コマの発達史】マンガはいつからマンガになったのか?(夏目房之介)

「コマ」というものはいつどのように誕生したのか。
昔の絵巻・見聞誌・絵物語を挙げてマンガという表現の発達を探ります。明治頃の絵物語の「絵を枠で囲って、隣ページに文で説明」というスタイルは、もうあと一歩でマンガですね。
しかしたった数十年でここまで発達したマンガってすげーなあ。

【風景とドラマの対位法】つげ義春『海辺の叙景』の異様な視覚効果(竹熊健太郎)

つげ義春の短編『海辺の叙景』の「異様さ」を検証しつつ、マンガの特質の効果的な使い方を読み取る。
この作品ほどキャラの台詞と視覚イメージが反対なマンガも珍しいですねー。話は普通なのに印象が暗い暗い。
「マンガを形成するあらゆる要素が互いに裏切り合う『対位法』によって構成された作品である」
単に暗い雰囲気しか描けないだけだったりして。だってつげ義春だし(偏見)。

美少年の描き方

Category:マンガ・創作関係

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美少年の描き方
こざき亜衣
グラフィック社


顔・体・手足・着衣などのデッサンの取り方とかバランスが載ってるところは他の教本と同じなので割愛。

美少年キャラを上手く描くコツ…というよりは「美少年キャラの変遷」(『サルまん』でもやってましたね)に重きを置いてる本?
なので、タイトルは『美少年の描き方』より『時代別美少年の描き方』にした方がしっくりきたんじゃないかと思いました。

60年代風の、使命を持った4頭身美少年(鉄人28号の正太郎っぽい)
70年代風の、金髪睫毛美少年(モロジルベール)
80年代少年マンガ風の、暑苦しい熱血美少年(サッカーやってそう)
80年代少女マンガ風の、不良美少年(バンドやってそう)
90年代~現代の、クールで陰険な美少年(リボーンの雲雀っぽい)

こいつら時代別美少年の描き分け方が一番参考になりました(描く機会があるのかは不明ですが)。
「60年代少年は口が中心から著しくずれている」とか
「70年代少年の目は上弦が分厚く角張っている」とか
「80年代熱血少年は鼻の下が異様に短い」とか。

意外と悩む「黒目の処理の仕方」と「横向き顔の目の見切れ」あたりはもう少しいろいろ細かく書いて欲しかったです。
あとこの手の本はいつも肝心の作者の絵があまり上手くないのが欠点だなあ…。

この本を見て美少年キャラが描けるように…はならないと思いますが、部分的には役立つところもあった。というかんじです。

竹宮惠子のマンガ教室

Category:マンガ・創作関係

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竹宮恵子のマンガ教室
竹宮恵子
筑摩書房


「マンガ教室」というタイトルではありますが、全っ然入門書レベルの内容ではないので注意!
この本は「それなりにマンガを描けてる人が、もう少し上を目指すための技術本」と思った方がいいです。
服のシワの描き方や老若男女の指の描き分け、演出、人称の変え方など、かなり専門的な内容。でも対談形式と挿し絵で書かれていて読みやすいです。

ずっとマンガ家として活躍してる竹宮先生の「マンガ」のあれこれに対する考えはほんとに面白くて、構図・ポーズ・コマ割り論なんか、そこまで気にするのか!という細かさにビックリ。絵うめー。

竹宮先生が過去の作品内で描いた「浴衣を着てあぐらをかく男」の絵が時系列に並んだページがあるのですが、だんだん上達していくのがわかって面白いです。着物着た人って描くの難しいのよね…。

構図の話も、「地球の丸みを意識して一点透視の背景を描く」とか、なんかすごいです。考えたこともなかった…!
「絵に法則はない。感覚で描くんだっ!!」

あと、自分が生み出したキャラクターを竹宮先生が語る「キャラクター・アドバイス」があります。
その「変人キャラの巻」に颯爽と3段ブチ抜きで登場する『風と木の詩』のジルベール。
「ジルベールをすきなあなた! はっきしいってあなたは変人(態)だ!」
何でですかー。ジルベール超可愛いじゃないですかー。
というか、ジルベールとかオーギュとか、あのへんのキャラを竹宮先生がちゃんと「毒気の強いキャラ」として認識してたことに驚いた。あの時代の耽美マンガはあれで普通だと思ってたよ。

「キモチ悪かろーがかきたくなかろーが
これはゼッタイよくわかる!と思う性格描写なら やるべきです


ジルベールといえば、『風と木の詩』に出てくる妙に生々しいお花(よくジルベールの下半身にからまってるよーなやつ)に「毒花」という名前がついてて笑っちゃいました。そうか毒なのかあの花は…w

さらに「24年組」「JUNE」についても語る語る竹宮先生。えっ、24年組って自分たちで言い始めた言葉だったんですか?
竹宮先生が自分の作品や他のマンガ家さんの作品を例に出して語るところもたくさんあって面白いです。大島弓子作品の人称は確かに独特だ。あと、新人マンガ家の原稿にツッコミを入れまくるコーナーが好き。
マンガ家のマンガ論ってほんとに勉強になることが多いです(レベル高いけど)。
だからもうマンガ家さんは一人一冊マンガ教本を執筆すればいいと思うよ。

マンガ名ゼリフ大全

Category:マンガ・創作関係



タイトル通り、マンガの名ゼリフを集めた本です。
全国500人&著名人32人のアンケートを元に選出した珠玉の名言250を収録(文庫版では200に減った)。

セリフは6ジャンルに分類。

勝負に挑む気概
・誰の真似でもない生き様
努力プライド
恋愛の甘さと苦さ
・見返り無用の友情
仕事の流儀


この本の良いところは、ほとんどの名ゼリフをちゃんとそのマンガの場面つきで紹介してくれるとこですね。
やっぱり文字だけじゃなくて、そのシーンも一緒に見ることで雰囲気がより伝わってきます。別冊宝島ならB5サイズだから見やすいし。
ここに載ってた一場面を見て「これ読んでみようかな」と買ったマンガも結構あります。
…でも著名人へのインタビューは別にいらなかったなー。


「やっぱり載ってた」と思ったもの。
「名ゼリフ」といえばこれは当然入るよねってセリフ。

「あきらめたらそこで試合終了だよ」
「燃えつきた…まっ白な灰に…」
「わが生涯に一片の悔いなし!!」
「やらない善よりやる偽善だ!」
「ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで…」
「長い間!!! くそお世話になりました!!!」
「あたしは仕事したなーって思って死にたい」
「退かぬ! 媚びぬ! 顧みぬ!」



「これを選ぶか」と思ったもの。
これを載せるか。私は好きだけど。ってセリフ。

「不様でも守りたいものがあります!!」(臨死!! 江古田ちゃん)
「究極の問いを発し続けろ! どこまでも高みへッ!!」(銃夢)
「幸福と善意と優しさと愛に満ちた世界を…要求する!!」(真説 ザ・ワールド・イズ・マイン)
「押さないっ・・・・! オレは押さないっ・・・・!」(賭博黙示録カイジ)

ザ・ワールド・イズ・マインとか、ちょっとマイナーっぽいマンガも結構登場します。
エアマスターも頻出。


この本は一応、セリフの「意味の良さ」で名ゼリフを選んでるようなので、「語感」とか「謎の迫力」タイプの名ゼリフは載ってません。
例えばジョジョなら、露伴さんの「もっともむずかしい事は自分を乗り越えることさ」とか、承太郎の「見るんじゃあなくて観ることだ、聞くんじゃあなく聴くことだ」とか、そのへんになります。
僕らの大好きな「貧弱貧弱ゥ!」とか「無駄無駄無駄無駄」とか「この味は嘘をついてる味だぜ」とかはナシ。ちょっと寂しいですね。

でも「友情」の章でBANANA FISHのアッシュのセリフを選んだのは評価します。あのセリフ一番好きなんだ…。

あと、どうでもいいこと。
『働きマン』の「由実」、『夕凪の街 桜の国』の「皆実」。この二人の名前はあちこちで「実」「美」になってる。この本でもやっぱり間違ってた。


※文庫版は上の本より掲載セリフが50少ないので注意

漫画の構造学!

Category:マンガ・創作関係



表現形式の発展は、漫画の持つ情報伝達機能の拡張と深化だ。
そのことを視覚的・記号的に分析すると同時に、その変化が漫画史のどの局面で発生したかを検証した。

(序文より)

漫画という表現方式が、どのように発展し、現在の「漫画」「まんが」「マンガ」「劇画」「コミック」「萬画(©石ノ森)」に至ったかを論じた本です。

第1章「漫画の原型」
第2章「劇画へ、物語へ」
第3章「記号を持った漫画」
第4章「ギャグ=パロディ=不条理コミック」
第5章「深化していく漫画構造」
第6章「プロ漫画アマチュアコミックの融合」
第7章「コミックアートの可能性を拓く」



第2章「劇画へ、物語へ」

「男性理論で泣いたヒロイン」はけっこううなずけました。
少女マンガも男性作家が描くのが一般的だった昭和30年頃までは、「男の思う少女像」であるところの主人公がやたらウルウル泣く悲しいマンガが主流だったのが、水野英子達の登場によって大きく変わっていったんですねー。


第3章「記号を持った漫画」

マンガの表現を研究してる私としては、手塚治虫の話が面白かったです。

「僕の画っていうのは驚くと目が丸くなるし、怒ると必ずヒゲオヤジみたいに目のところにしわが寄るし、顔が飛び出すし。そうパターンがあるのね。
このパターンとこのパターンを組み合わせると、ひとつのまとまった画らしきものが出来る。だけどそれは純粋の絵画じゃなくて、非常に省略しきった記号なのだと思う。
僕にとっての漫画というのは表現手段の符牒にしかすぎなくて、実際には僕には絵を描いているんじゃなくて、ある特殊な文字で話を書いているんじゃないかという気がする

これが手塚先生の「マンガは一種の象形文字である」ですね。さすがマンガの世界を開拓したお方は考えることが違うわ…。


この本ではちょびっとしか書かれてないけど、「少女漫画の黒髪白髪の対比」の話も興味深かったです。
「キャラクターの髪はリビドーの重さに比例してどんどん長くなる」については私がもっと詳しく研究したい!
そういえば『ベルばら』のオスカルとアンドレの髪も、最後のベッドシーンの頃にはずいぶん伸びてたなぁ…。


第4章「ギャグ=パロディ=不条理コミック」

私が注目したのはコマ割りの話。「漫画の時間論」は勉強になります。
描いてみるとわかるけど、マンガって、コマ割りによって「そのシーンに流れる時間」が変わってきちゃうんですよ。これのコントロールがもう難しくて難しくて…。


「コマの形によって変化する時間」
横長のコマの方が流れる時間が長い。


この図版は岡野史佳の『少年宇宙』のワンシーン(模写)。

このシーンをワンカットで描くと、上の図みたいにイマイチな構図になってしまいます。
まず少年と少女を2つのコマに分割、さらにそれを融合して枠線の上にモノローグを載せることによって、同じ時間内の少年と少女、二人の表情を同時に見せることができる。
これがもう少し複雑になると『めぞん一刻』の「一日でいいからあたしより長生きして」のシーンみたいなコマ割りになるんですね。


この本で紹介されてる『トーマの心臓』や『風と木の詩』のワンシーンを改めて観察すると、コマ割りとか構図の上手さに溜息が出ます。1ページを白と黒でコントラストつけたり(トーマ)、コマが途中から枯葉になったり!(風木)
絵巻みたいなものから、よくここまで素晴らしい進化を遂げたなぁ…。

漫画ネームの進化


第7章「コミックアートの可能性を拓く」

「新しい漫画はどこにあるのか」
いがらしみきお、「漫画は終わった」とか言ってたんですね。
終わってない! 終わってないもん!
『編集王』でも「マンガはもう終わり、今やゲームの時代だ」とか言われてたけど、終わられちゃ困るんですよ。確かに今のマンガは、パッと見、いろいろ飽和状態な気がしないでもないけど、マンガで描かれてないことはまだまだいっぱいあると思いますよ。まだまだマンガはいろんな可能性を秘めてると思いますよ。終わられちゃ困るんですよ。(2回目)
「漫画はまだまだ新しい」と言う長谷川氏。愛ですね。

思いどおりのキャラが描けるテクニックBOOK

Category:マンガ・創作関係


この1冊で、はじめの線の描き方からストーリーの組み立て方までまるわかり!
とあるように、1冊が結構盛りだくさんなんですが、なんていうか、広く浅くといったかんじ。丸わかりではないなー。
「描くための道具」とか「トーンを使いこなそう」とか「パソコンでカラー原稿を描こう」あたりは他の本にいくらでも載ってるんだから、もう少しテーマを「キャラの作り方」に絞り込んだ方がよかったと思います。(キャラの「描き方」だから仕方ないのか?)

第1章:描くための基本をおさえよう
第2章:キャラを創ってみよう
第3章:背景を描いてみよう
第4章:一枚絵を描いてみよう
第5章:コマのあるまんがを描いてみよう


結構なるほどと思ったのは第2章「キャラを創ってみよう」
ファンタジーノベルズやゲーム、まんがに登場する代表的な9つのタイプキャラクターを創ってみましょう。
ここに出てくるキャラが全員、なるほど見事にどっかで見たようなキャラ。

1.ヒロイン:10代半ばの妹キャラ。勝ち気で意地っ張りだけど本当は心優(ry
2.ヒーロー:10代後半。単純だが正義感が強く、誰よりも強くなりたいと思っ(ry
3.サブキャラ男:大人。武芸者。クールでニヒルな仇持ち。顔にキズが(ry
4.サブキャラ女:大人。お姉様っぽい魔法使い。サブキャラ男が好(ry
5.チビ:見た目は子供だが数十年は生きている魔族。強い魔力を持っていたために魔力を封じら(ry
6.妖精:年齢不詳の小悪魔系。エルフ耳。気まぐれな性格だが、ヒーローのことが好(ry
7.モンスター:旅の仲間にたびたび立ちはだかる敵。獰猛で残忍な(ry
8.半メカ:常に冷静沈着なメカ女。毒舌。意外と不器用な一面も(ry
9.マスコット:癒し系の架空動物。普段は役立たずだが、不思議なアイテムを持っ(ry

…キャラクター類型って便利ですね。
大体こんなかんじのパーティーを適当に作っておいて、「実はヒロインは某国の姫でホニャララ」「封印されていた魔力がピンチになると覚醒してホニャララ」あたりの設定を適当にふくらませれば、どっかで聞いたようなバトルファンタジーもの一作くらいサラッと描けそうです。描かないけど。

しかし、この手の本は、項目によって参考絵を描いてる人が全然違うのが嫌なんだよなぁ…。上の9キャラが1ページに集合すると何とも言えない違和感が(表紙参考)。半メカの人の絵が好きなのにー。

冒頭のクリエイターズインタビューは石川史・コザキユースケ・加藤絵理子です。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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