裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

二日月

Category:山岸凉子

二日月(ふつかづき)
1990年

牧神の午後』(朝日ソノラマ)
山岸凉子スペシャルセレクション〈8〉二日月』(潮出版社)
に収録。



中学3年生になったえりは転校生の菊池という女子と隣の席になるが、菊池は何かというと自分の「超能力」や「予言」を誇示する。


超能力オタクの困ったちゃんと普通の女子の恋愛バトルというかんじでしょうか。

「暗い・ハッキリしない・鈍くさい」と言われていた菊池ですが、ある日、「スプーンが曲げられる」ということでクラスで有名になります。
最近えりといいかんじになってる伊達くんを好きな菊池は、自分の唯一のとりえ・超能力で伊達くんの気を引こうと頑張ります。
以下、菊池(自称巫女)の超能力発言。
「あたし オーラも見れるのよ。この中でいいオーラを出しているのは伊達くん。金色なの」
「みんなも誰かを呪いたかったらいってね。わたしのはよくきくから
「あのね 伊達くんね こんどの大会で怪我するわ」※伊達くんは陸上部
「特にあなたがそばに寄ると伊達くんに悪影響を及ぼすの」
「あなた達二人は最悪の相性なの」

自分と伊達くんの間に割り込もうとする菊池の不愉快な予言に、えりは当然怒ります。
嫌味にとるなですって!! ハッキリ悪意じゃないのよ!!
またこの菊池も決して堂々とアピールするわけじゃなく、「私はあなたの役に立てると思うから…」みたいなハッキリしないラブレターを出したりする、微妙な厄介な奴なんですよね。
「美人じゃないし特に魅力もないのに怪しい超能力にだけ妙に自信を持つ地味めの女子が彼氏に近づこうとする」って、「美人だけど意地悪な女子がライバル」とかよりよっぽどリアルで嫌です。

結局、不安ながらも「菊池さんの言うことなんか信じない!」を貫いたえりが勝ってめでたしなわけですが、中学生のくせにいやに論理的な伊達くんの言葉が菊池さんのアイデンティティをバッサリ斬ります。

「菊池さんは気の毒な人だと思う。
菊池さんはせっかくのパワーをマイナスの方へ方へと使っているんだもの」


「スプーンを曲げるという力は
人間のパワーの底知れなさを証明しているとは思う。
だけどそれがスプーンではだめなんだ。
その力を僕のように走ることのイメージに使ったり
もしくは物を創造するエネルギーやインスピレーションに
転換できなくては何の意味もないんだ」


と語る伊達くん。イメージコントロールで優勝した男。

さらに伊達くんは「超能力や霊的な力に魅かれるのは逃避的な人に多いと思う」という、各方面から反感買いそうな発言をしちまいます。いや私も思ってたけどもさ…!

えりや伊達くんは、悪い予言や占いにも逆らって現実の問題を解決していける人(最後までマイナスイメージを口に出さなかったえりちゃんは偉い)。
菊池さんは、生きにくい人生を霊的なものに頼って自分なりにしのいでいかなきゃならない人。
なんかぶっちゃけ菊池の気持ちの方がわかるなぁ…。

「考えようによっちゃ 普通に健康的で楽しく暮らせる力は
もうそれだけで超能力なのかも」
その「普通」ができない人が多分いっぱいいるんだと思うよ…。
よくこういう難しいテーマをマンガにできるなぁ、山岸先生ってば。
あ、「2月3日の節分より前の早生まれは前の年の干支に入る」というのは初めて知りました。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
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大奥
カルバニア物語
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トクサツガガガ
ドリフターズ
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HUNTER×HUNTER
etc.