裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

うしおととら

Category:少年サンデー系


久しぶりに全巻通して読んだら、やっぱりすごい名作だった。
私の感動したマンガベスト5に入ります! こういう作品を小学生の時に読むことができたということはけっこう良い財産になったなーと思います。子供の頃に読んだ作品だから良く思えるっていうのもいくらかあると思うけど、それを差し引いても面白い。面白いというか、「いいマンガ」というかんじ。
読んでない人は絶対読んで欲しいです。これ読んでない人は人生の十分の一くらい損してると思いますよ(独断)。本当おすすめ。



あらすじ


寺に住む少年・蒼月潮は自宅の蔵の中で一本の槍に縫いとめられていた妖怪を解放してしまう。
うしおが「とら」と名づけたその妖怪は、かつて近隣一帯を恐怖のどん底に叩き落していた大妖怪であった。
また、とらを500年間縫い留めていた槍こそ、2000年以上も前の中国で妖怪を滅ぼすためだけに作られた「獣の槍」であった。
獣の槍の伝承者となったうしおは、とらと共に様々な妖怪との戦いを繰り広げる。
始めこそ、降りかかる火の粉を払うごとく、襲ってくる妖怪を退治していた潮達であったが、物語は次第に世界を滅ぼす大妖怪・白面の者との決戦を中心に廻りだす。
(Wikipediaより)

私大好物の少年&妖怪の相棒バトル物語。書いてる人が藤田和日郎なだけあって熱さと涙が100%フルスロットル。こういう画面から魂を感じるマンガが大好きです!
決して美麗というタイプの絵柄じゃないけど、この荒っぽい絵が「うしとら」世界に完璧にマッチ。アニメ化は厳しかった。



主な登場人物


藤田の描くキャラクターはみんな魅力的。とらちゃん大好き!

蒼月潮

主人公。中学2年生。
「強くて優しくて元気で正義漢で真っ直ぐで前向き」という少年マンガの主人公に超ありがちな性格なのに、藤田先生が描くとここまで熱い。
白面の者との最終決戦での「希望を生む者」という言葉がピッタリすぎます。
あまりに真っ直ぐすぎて敵に回らなければならなくなった流兄ちゃんの気持ちもよくわかるよ…。
獣の槍を使う時に髪が長くなるのはカッコイイからだけじゃなかった。

とら

うしおに取り憑いてる大妖怪。
隙あらばうしおを喰ってやろうと思ってるけど、獣の槍が怖くて実行に移せないまま。
強くてかっこよくてお茶目で可愛い! 初期にはあった耳は今いずこ。
最期のシーンで涙腺崩壊させられました。
実はとらの誕生にも秘密が…。

中村麻子

潮の幼馴染みの、男勝りな美少女。真由子の親友。
非常に男気溢れた性格。自然なツンデレがいい。
他のキャラと比べて不思議な力は一切持ってないが、ヒロインとは思えない肉弾戦闘力を誇る。

井上真由子

同じく潮の幼馴染みの、ほがらかで優しい美少女。肝がすわっている。
日崎御角やジエメイと顔が似てたのは偶然じゃなかった。
最終的にうしおよりとらちゃんの方が好きになってないか?


他にも
元死にたがりのミステリアス礼子ちゃんとか(潮が獣化した時の切り込み隊長かっこよかった)
純情セクシー系かまいたちのかがりとか(とらへの恋心が可愛い)
儚げ霊能力白髪少女小夜ちゃんとか(冥界の門開くとこかっこよかった)
トーン肌&方言萌えの水乃緒ちゃんとか(お外堂さんかっこいい)
強気陸上部の勇ちゃんとか(うしおと一緒に槍で妖怪刺すとこかっこよかった)
怒りっぽいショートヘア娘日輪ちゃんとか(最終決戦の時の吹っ切れ方よかった)
みんな可愛くて、全部のキャラがお気に入りです。こんな生き生きしたキャラが描けるのがすごいよなぁ藤田。

なんか女の子キャラの話ばっかりしてますが、男キャラももちろんかっこいいです。
妻子の敵討ちに燃えるクール符術師の鏢さんとか
エレザールの鎌の使い手&ショタ担当・キリオくんとか
真面目シスコン気味法力僧の悟さんとか
軟派なバイク乗りの流兄ちゃんとか
かがりのお兄ちゃんの雷信とか
心配性のヤンキー賢ちゃんとか
普段はただの親父のうしお父・紫暮(法力僧)もいざとなるとめちゃくちゃかっこいいんですよ。
中年とか老人キャラがかっこよく描ける漫画家は貴重だ!



好きシーン・好きエピソード・好き台詞


全部の話が好きだけど、特にお気に入りをセレクトしてみました。
(重いのでページ分けました)


第3章・我眠様編


真由子が「我眠様」に襲われて、うしおととらがやっつける話。
真由子にクリソツな霊能力者・日崎御角はこの時すでに出てきてたんですね。
初めて人間の街に出て車とかガラスに驚くとらが可愛いったら。


意外にも、真由子より麻子の方がおしゃれに興味があるというシーンが。麻子ってば男勝りに見えてもそういうとこが可愛いね。
そして、金気のものとか化粧がきつい人間は喰えないとらちゃんが、貴金属も香水もつけてない真由子に出会って、「こいつが500年ぶりのわしのメシ」と狙いを定める。
でも真由子はとらが喰おうとする前に「我眠様」に襲われて…。


「はい。ハンバーガーっていうのよ。おいしいよ…」
さっきまで生首の妖怪にさんざん追いかけ回されてたというのにこの笑顔!
真由子の肝のすわりっぷりはすごいですな。
「人間よりきっとおいしいよ」
この回からとらは「はんばっか」大好きになりましたとさ。


第9章・かまいたち編

かがり・雷信兄弟が初登場の話。全体的に涙なしでは読めないうしとらの中でも、特に涙腺崩壊の十郎編。
「我らが兄弟、十郎を殺してください」

うしとら10
「わるかったなあ。つらかったろうなあ。
オレは人間なのにすみ家とられたおまえらのために、何もしてやれんもんなァ…。
刺されるくらいいいかとも思ったんだけどよォ…」

妖怪のために本気で涙を流せる男。こいつが主人公で良かったと思えるシーン。


(´;ω;`)ブワッ


第19章・畜生からくり編

うしおが母親の謎を知りに旅に出てた時の話。
ゼンマイに若い女の心臓の肉を巻きつけて動くからくり人形が人を襲う!

怖えええ! 山岸凉子の市松人形のホラーマンガみたいになっとるー!


人殺しからくり人形の首をブッ飛ばし、ガソリンと火で燃やすことに成功した麻子。
爆発する博物館の窓から飛び降りる麻子と、それを受け止める真由子がかっこよかった!
こういう「選ばれた戦士」以外の普通の人間(しかも女の子)が活躍できるところがうしとらのいいとこだと思います。「○○は□□の力でしか倒せない」みたいなの嫌なんですよ。例え相手が未知の怪物でも、普通の人間の知恵と力と勇気を振り絞って戦って勝つ! そんなマンガが好きなんですよ。
「衾」の回の、自衛隊のミサイルで妖怪やっつけるとこも好きだったなー。


第21章・うしお獣化編

獣の槍の使いすぎで、うしおが獣になりかかってしまう話。
今までうしおと関わってきた5人の女の子たちが活躍する!

「うしおくん…今じゃ、私、生きたがりの礼子よ……」
礼子好きです。


「あんたはバカで…考えなしで…落ち着きなくってケンカっ早いよ…
けどさあ…あたし、あの、うしおがいいよう。
だから…帰ってきてよう」

藤田先生の「目」の描写はすごいな、と思う。


第27章・キリオ編

エレザールの鎌を持った天才少年・キリオが「獣の槍なんかいらないよ」と破壊しに来る話。
とりあえず、お役目様が死ぬほどかっこいいんですけど。

藤田作品のご老人はなんでこう無駄にかっこいいのか!


「弱いなあ…お兄さん」

しかしキリオの「ママ」は白面の者の使いだった!
この、キリオが「ママ」に騙されていたと知るシーンの表情が凄い。

「みーんなあなたに獣の槍を壊してもらうため…
あなたのためじゃないわねえ…キリオ!」

いやー、こういう表情描かせると天才だな、藤田は。


第30章・たゆらとなどか編

真由子ととらで妖怪をやっつける話。この話で「泥なんて何だい」という名台詞登場。
もはや完璧にとらを餌付けしている真由子ちゃんスゴイ。

カニギョーザバーガー!?

またも妖怪のいる危険な場所へ行ってしまった真由子。大事な「でざぁと」を守るためにとらは追いかけます。

真由子に変化したとら


「満足する死とは何だ?」
最後の方で初めて真由子の名前を呼ぶとらちゃんが可愛いったら。
そしてなんだか真由子と結婚の誓いしちゃったとらちゃん。ええー。
最初の出会いの時のシーンといい、この二人のエピソードは毎回ほのかに恋愛フラグ立ってるっぽいのは何故ですか。


第31章・ブランコをこいだ日

私的うしとら・涙腺崩壊エピソードベスト3のうちのひとつ。サトリ編。
飛行機墜落事故で失明した少年ミノルは、森で出会った妖怪「サトリ」を自分のお父さんだと思い込んで2ヵ月もの間サトリと一緒に暮らしていた。

「森だと…お父さん…お酒のまないから、いつもいっしょなんだよ」
ミノルを人間たちに保護させたあとも、サトリはミノルの目をよくしようと、人間たちの目玉をえぐり取る。
このサトリの純粋すぎる殺人はすべてミノルのために…。
「なんか…ミノルが笑うと…うれし…いんだ…へへへ…」
サトリはちょっと知恵足らずっぽいとこが涙を誘うよ…。


バカヤロォ! バカヤロォ! バカヤロォ!
「自分のために人殺ししてる父ちゃんを…ミノルがうれしいとでも思うかよォ!?」
「そんな腐りかけた目ン玉なんて何の役にも立たねーんだ!!」

「うそだァアァ!!」
「読めるんだろオレの心をよォオ!!」



「ミノルは…目ェ…よくなる…かな?」
「……ああ…」
「そしたらよ……オレを見てよ…
お父さん…なんて…いって…くれるかなァ?


「あったりまえだろ!」
(´;ω;`)ブワッ


第32章・お正月編

うしとらはシリアスの合間合間になごやかな1話完結回をはさんでくれるから好き。


とらのせいでうしおの正月は滅茶苦茶です。


なぜか書き初めにまで参加してるとらちゃんw
ちなみにお題は「今年の目標」。麻子の「おちついて考える」に地味に噴いた。


第33章・お外堂さん編

四国から来たお外堂さん使いの娘・設楽水乃緒が、とらを「はぐれ外堂」と誤解してうしおに挑む話。
「ホッコ」って四国弁かしら。

この「匣兵器お外堂さん使いの少女」っていう設定だけでマンガ一作描けそう! 描かないのかなー。

そして私のお気に入りシーンは、女子トイレでガチンコ殴り合う麻子と水乃緒。
藤田作品のヒロインは活きがよすぎるぜ…!


三井先生の写真を切り刻むエミ先生の表情はかなりやばいと思う。



最終決戦

伏線の回収っぷりの見事さに感動を覚えた、白面の者との最終決戦編。
普通、長編バトルものって最後の方がグダグダになりがちなのに、うしとらは最後が一番良い! 白面の者が人々からうしおととらの記憶だけ奪うところから最終決戦までが最高すぎる!
うしおもとらも、一度負けてから再び立ち上がるところが最高に燃えます。
この完成度の高さが「うしおととら」を名作と呼ぶにふさわしい作品にしたと思いますよ。
あまりの素晴らしさに、藤田先生はこの先「うしとら」以上の作品は描けないんじゃないか!?と思ってしまいます。ほんと、良い意味で。


「誰……あなた!?」
白面にうしおの記憶を奪われた麻子。
みんなから忘れ去られたうしおが泣けます。


「それでね、私、その人大好きだったの……」
「え、顔も忘れちゃってるのに?」
「そしてね…麻子もその人、大好きなのよ

ここの、忘れてるうしおのことを話すシーンは印象的でした。


真由子の身代わりになって炉に飛び込む麻子を受け止めるうしお!
ヒロインが火だるまになるマンガもそうそうないよ…。


「助かってくれなァ、麻子ォ…」


「ああ…なんだ…風が…やんだじゃねェか…」
流兄ちゃん(´;ω;`)
最終決戦人死にすぎ! しかし「死のシーンはそのキャラの最高の見せ場」と考える藤田先生の描くキャラの死に様はどれも感動的です…。
しかし流が死んだことにより、うしおの心は白面への憎しみで真っ黒になってしまうのです。


おまえのせいでオレには何にもなくなっちまった…
友達も家も…オヤジも…
そして… 母ちゃんはオレを叩いたんだ! 叩いたんだよ!!
憎い! おまえが憎い!!



「あばよ、バケモン」


「今…帰ったよ…あけとくれ…」
(´;ω;`)


だってよ… 胸に…穴があいちまった…


「とらちゃん、私を食べるっていってたよね…。必ず食べてね。
食べないうちにどっか行っちゃ…やだよ…」

「ふん。あったりめえだ、喰ってやらァ。うしおの次にな!
おめえはうまそうな わしの『でざぁと』よ」

「うしおくんの次…? うふふ…
それじゃ…とらちゃん…私をずぅーっと食べないつもりだねえ

ここの、死にかけのとらと真由子の対話にボロ泣きしました…。
うしとらの終盤は涙乾いてる暇ないよもう…。


「今、オレ達は…太陽と一緒に戦っている!」
「うしお」と「とら」復活ッッ!
白面の者を倒すシーンはもう何も言うことありません…。


「バカヤロウ、とらァ、まだ死ぬんじゃねえ。
まだオレを喰ってねえだろうがよォ。
おまえは…オレを喰うんだろォ! とらァ!」


うしとら45
「もう… 喰ったさ。
ハラァ… いっぱいだ」


(´;ω;`)ブワッ

とらの最期の台詞…! あのお約束の「喰ってやる!」を、まさかこう終結させるとは思わなかった!
「もう喰わねーよ」じゃないんだ…! 藤田天才やで!
白面の最期も単に「やっつけられた」じゃないかんじで良かった。読み返して、白面の鳴き声が最初から「おぎゃー」だったことに気づいてびっくり。読み返した時に新しく気づくことがある作品っていいですよね。



おまけ


藤田先生は巻末コーナーに力入れすぎです。素敵です。
シュールなクイズコーナーが好きでした。カバー折り返しのマンガも面白かった。
こういうのって文庫版とかにも収録されてるのかなあ?



おっーと! われらが流兄キの登場だっー!!
で…どんないでたちだったっけ?

16巻巻末の大なぞなぞコーナーより。
人智の炎よ燃えあがれ!(意味不明)



「おうしととら」。
謎のおまけカット。「おととしのとら」ってのもw



「マンガの描き方」面白かったw
ちなみに三角帽子の人は当時うしとらのアシスタントやってた雷句誠です。




↑文庫版は表紙絵のドットが妙に粗い巻があるのが若干気になります…



photo
うしおととら(ワイド版)
藤田和日郎
全18巻

うしおととら (第2巻) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉) うしおととら (第3巻) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉) うしおととら (第5巻) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉) うしおととら (第6巻) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉) うしおととら (第7巻) (少年サンデーコミックス〈ワイド版〉)

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.