裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

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赤い髪の少年

Category:山岸凉子

赤い髪の少年
1973年

赤い髪の少年 (サンコミックス)』(朝日ソノラマ)
山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈13〉妖精王3
に収録。



「なぜ彼のことをにんじんと呼ぶのです? 髪が赤いからですか?」
「あの子の心ときたら髪よりすごい色なんですのよ」

大学院生のエマニュエルは従兄の息子のステファヌと出会う。
「にんじん」と呼ばれるステファヌは母親から虐待を受けていた。


ジュール・ルナールの『にんじん』を元に描かれた作品です。
夫との不仲による苛立ちを息子にぶつける母親がひどい! ステファヌの失くし物をこっそり隠して「さがしておいで。見つけるまで家に入れませんよ」とか、楽しみにしてた芝居に一人だけ行かせないようにしたりとか…。
本当に実の母なのかと疑うほどの陰湿な虐待。暴力は振るわなくとも、こういうネチネチしたいじめも充分酷いですね。他に兄姉が二人もいるのに、なぜか末っ子のステファヌ一人が標的になっているあたり、リアルです。父親も何とか言ってやれよ…。

どうしてこんな目にあわなくちゃいけないんだ
ママはぼくが憎いんだ 憎いんだ!


大好きだったはずの猫を発作的に殺してしまい、「だれもぼくを愛してなんかいない」と泣きじゃくるステファヌを暖かく受け止めるエマニュエル。いい人です。目指せ『籠の中の鳥』でいうところの人見さんのポジション。
自分の悲しみを自分より弱い者(猫)にぶつけて殺してしまった今のステファヌと、ステファヌのママは同じなのだとエマニュエルは言います。

「悲しみや苦しみをうまく処理できない人っているんだよ。
きみはあのネコが好きだっただろ。だけどあのネコはきみをうらんじゃいないと思うよ。
きみの悲しみを知っていただろうから きっときみを許してくれてるよ。
ママだってきみを憎んであんなことをするんじゃないんだ。
こうせざるをえないんだよ。悲しい人なんだよ」


「ママのこと まだよく理解できないけど…
でも おじさんがぼくを愛しててくれるんだったら……
それだけをたよりにぼく やってみるよ」


小説の『にんじん』には、このエマニュエルおじさんという「救い」は出てこないようですね。
原作読もうかな。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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