裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

スポンサーサイト

Category:スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

二口女

Category:山岸凉子

二口女
1992年

甕のぞきの色(プリンセスコミックス)』(秋田書店)
甕のぞきの色(秋田文庫)』(秋田書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈6〉夏の寓話』(潮出版社)
に収録。



「3高なんていってる女性もいるらしいけど くだらないわよあんなこと」

「3高なんかにはこだわらない」イラストレーターの由良子(ゆらこ)は、今年こそ結婚しようと次々にお見合いを繰り返すが、気に入る男性が一人もいない。
由良子の姪・紫(ゆかり)はお見合いを偵察するうちに、由良子の女のエゴ、そしてとある男のエゴを知るのであった。


「気持ちだけは若いイラストレーターの叔母」&「しっかり者の姪」という、『あやかしの館』的な組み合わせの二人が出てくるお見合いマンガ。3高とか最近聞かないなー。
「30過ぎのイラストレーターの女性がお見合いする話」といえば『朱雀門』もそうですね。この作品の由良子さんは、お見合いをたくさんしていくうちに、言葉とは裏腹な自分の本当の気持ちに気づきます。というか、紫ちゃんにつっこまれます。

「正直におっしゃい。あなたはね 3高のうちひとつでも欠けていれば気に入らない人なのよ。
おまけに決定的な理由は3人ともハンサムじゃないということなのよ」


「そうなのよ。わたしってすっごい面食いだったのね。
でもって目一杯条件に左右される女だったのよ」


由良子さんは口では「人間は中身よ」と言っていたものの、自分でも自覚なしにハイスペック男子(←今風に言い替えてみました)を求める女でした。
「自己(おのれ)を知りなさい自己を! 幾つなのよ」
しかしタイトルの「二口女」が出てくるのはもう少し先の展開。
3高かつハンサムという虫のいい条件にピッタリ合う男性が見つかり、舞い上がる由良子。
しかしその男はとんでもないことを言い出したのでした。

「妻がキャリアウーマンならそれでいい。家庭的な女は女で他にいますからね」
「歴史を振り返っても成功した男は何人もの女をかかえていたんですよね」
「経済力が許せばそれも充分できることですからね」


この発言にはさすがの面食い由良子さんも怒りました。お見合いの席で「正妻の他にも数人の女を囲うつもりですよ」とか言われたらそりゃ怒ります。ていうかこの男がすごい。
「世の男性は皆こう考えているのだけどずるいので隠している。でも僕は嘘はいやですから
無駄にバカ正直! …この人、この表裏のなさを武器にして、打算的な女なら複数囲って幸せにやっていけるかも知れません。

「あれが男の本音か」と落ち込む由良子さんを、二十歳そこそことは思えない渋い例え話で慰める紫ちゃん。

「めしを食わない女なんてこの世にいるはずないのにそれを望む男と
愛人の存在に平気な女がいるはずだと考える男は同じなのよ。
自分にとって都合のいいことだけを望む男は 結果的には二口女を呼び込むことになるのよ」


「…とするとわたしも同じだわ。めし食わぬ女房を望んだ男と同じだわよ。
自分に都合のいいことばっかり 3高にハンサムなんて…」


お見合いを通して自分自身を知る。このへんはやっぱり『朱雀門』に似てます。
そういえばよしながふみの『愛すべき娘たち』にもちょこっと似たかんじのお話入ってたなー。なんか女性作家が描きやすいプロットなのかも、お見合い物語。

「二口女」は全国にいろんな説があって、紫の言うように「めしを食わない女しか嫁にもらわないと豪語する主人公」という形もあれば、「単にケチな主人公の家に勝手に女房がやって来る」という形もあり、後者の方は「現実離れした嫁取りの条件」を積極的に出してるわけではないのでそれほど悪い人ではないかと。
おそらく話者によって「めし食わない嫁をもらう主人公」と「貞淑な妻の恐ろしい裏の顔」、どちらを強調するのかが変わってくるのでしょう。…って、すっかり民話の話になってました。

HOME

柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。