裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

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マンガ脳の鍛えかた

Category:マンガ・創作関係

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マンガ脳の鍛えかた
門倉紫麻
集英社


ジャンプ人気マンガ家37名、総計15万字激白インタビュー集

タイトルを見た限りではハウツー本のように見えますが、中身はジャンプのマンガ家さんへのインタビューが主。「ジャンプの作家さん自体に興味がある」かつ「インタビューされてる作家さんの作品を読んでいる」人じゃないと面白くないかも。要するにジャンプに愛着のある人向け。
マンガ家さんたちがどういう気持ちでマンガを描いてるのかが少しわかって私は興味深く読めました。
作家の仕事場とか道具とか本棚とかの写真もいっぱい載ってるし(しかも全部カラー)、特にネームとかプロットの写真がたくさん載ってるところはありがたいです。プロの人のネームとか見るの大好き!


第1章 総論編

大御所作家へのインタビュー。
本宮ひろ志、中井義則、嶋田隆司、鳥山明、高橋陽一、徳弘正也、車田正美、荒木飛呂彦、森田まさのりの9名。
「かっこいい絵」を突き詰める本宮ひろ志、「気持ち悪さ」が支持される中井義則…。ていうかキン肉マンの作者「ゆでたまご」が中井義則&嶋田隆司の二人ユニットだということをこの本で始めて知りましたよ。ゆでたまごが中学生の時にノートに描いてたマンガの写真が載ってて面白いです。物持ちいいなぁ。
高橋陽一:ネーム段階のキャラの顔と完成原稿のそれとあんまり違いが…いや何でもない。
荒木飛呂彦:この章で一番興味深いのはやっぱりこのお方のインタビュー。顔出てますが相変わらず若々しいです。『スティール・ボール・ラン』のネームがチラッと読めるんですが、キャラとかほとんど描いてないのになぜかすごくジョジョっぽい雰囲気が伝わってくる!
だって他は鉛筆書きなのになぜか「ゴゴゴゴゴ」だけは黒ペンでしっかりと描き込まれているもの。
マンガ脳1
「“謎”の探求がアイデアの基本です。知りたいと思うことが、マンガを描くきっかけになる。何でもいいんですよ。『重ちーが新宿に行くのはなぜかというと……』とかね」
なるほどそれは読みたいw
鳥山明:この章の注意点・鳥山明と車田正美のインタビューだけ超短え。ていうかQ&Aのみ。質問と回答が短すぎるのに相まって、鳥山先生の答えが天才すぎてほとんど参考にならないのがすげぇと思いました。
Q:ご自身の作品で気に入っているところ、好きなところがあれば教えてください。
A:自分の作品はなぜかあまり好きではなく滅多に読みませんが、強いて言うなら読みやすそうという部分。
Q:これまでのマンガ家生活を振り返ってご自身がどう変化してきたと思われますか。
A:マンガはほとんど読みません。マンガ家という職業もあまり好きではありませんでした。素晴らしい仕事だと気づいたのは比較的最近のことです。
Q:ストーリー作りで気をつけていることをお教えください。
A:サラリとした読み味、不必要に感動させないこと。
ク、クール! 真似できなそー。こんなドライな人からDBは生まれたのか…。でもDBには充分感動させられましたよ…。ピッコロさん死のシーンとかベジータ自爆のシーンとかミスターサタンの全てとか。



第2章 技術編

現在ジャンプで連載中の(インタビュー当時連載中だった)作家さんへのインタビュー。
作家さん別にインタビューテーマが決まっていて、例えば岸本斉史は「打ち合わせ」、小畑健は「作画」といった具合に、それぞれテーマを絞ったインタビューになってます。
しかし、この企画で当てられたテーマと自分の認識してるその作家さんの特性がズレてた場合「この作家にそれを聞くの?」「この人にあれを聞いてよ…」「この作家の真骨頂はそこじゃないんじゃないか?」と、なんかモヤモヤしてしまうかも知れません。松井優征が「オリジナリティ」とか矢吹健太朗が「女の子」なのはすごく合ってると思いますけど。本当は全員に全テーマ聞いてほしい…。
マンガ家さんとテーマ一覧↓
・岸本斉史:打ち合わせ
・西義之:素材
・星野桂:世界観
・稲垣理一郎:原作
・松井優征:オリジナリティ
・久保帯人:キャラクター
・矢吹健太朗:女の子
・うすた京介:ギャグ
・空知秀秋:セリフ
・島袋光年:ジャンル
・天野明:ペン入れ
・村田雄介:臨場感
・小畑健:作画
・大場つぐみ:原作
・尾田栄一郎:カラー原稿
・秋本治:連載

稲垣理一郎:『アイシールド21』のキャラはヒル魔→栗田→セナの順に浮かんだという話が面白かった。やっぱり個性の強いキャラから先に出てくるんですかね。個人的にはヒル魔的主人公が反則しまくる外道スポーツマンガの方が読みたかったりする。
原作のシナリオプロットはパソコン打ちの文字のみ。セリフとト書きと「オオオオオオオ」がごちゃ混ぜというスタイルは私と同じだなー。これ読んでるだけでもけっこうマンガの情景が浮かんでくるもんですね。
松井優征:『ネウロ』を読むたびにこの人いったい何考えてんだと思っていたのでインタビューには満足!
松井先生は絶対頭おかしい(いい意味で)と思っていましたが、天然でいっちゃってる人ではないのですねー。「なるべく違った目線で物事を見ようと努力はしています」
でも意識してあれほどアレな作品を描けるなんて…この人、すごく左脳と右脳のバランスがよさそう…。
「男性が理想とする女性キャラはわざとらしくなってしまう」というお言葉がさすが。私も弥子ちゃんはジャンプヒロインの中では相当キャラ立ってると思います。全キャラ好きだけど。担当さんに「かわいいキャラを作ろう」と言われて作ったのがあかねちゃんとか、ほんと松井先生のセンス大好きです。
「カキフライは、いいですよね。もう、美しいじゃないですか!」
久保帯人:稲垣先生と同じく、最初に浮かんだキャラは主人公一護ではなくルキアらしい。やっぱりキーキャラは制作段階でもキーキャラなのかしら。主人公って無難なキャラなことが多いから後から考えられるしね…。久保先生が音楽好きなのは知ってたけど、まさかiPodにBLEACH用のプレイリスト・シーン別のプレイリストがあってキャラクターごとのテーマ曲まで決まってるとは…。あのオサレな作風はそういう制作環境のせいか!?
「『尸魂界篇』に入った時くらいから『自分はこういうのが描きたかったんだろうな』っていうことがわかってきた」
破面篇はどうなんだろう…。
「何を描くべきか、何を描かないべきかが重要。たとえば背景だったら、あえて描かずに白く見せることが大事だったりする」
BLEACHは何かというと「背景白すぎ」って言われてるけど、個人的にはあの白さはそんなに悪くないと思うんですよね。ただストーリーの進みの遅さと一緒になると薄く見えちゃうだけで(ワンピースと足して二で割ってほしい)。絵と絵の見せ方はすごい上手いと思いますよ。しかしこの人の描き方って一枚絵向きなのかも知れないなぁ…。
矢吹健太朗:すごいほんとに女の子キャラの描き方の話しかしてないw
・黒目の割合が多い方がかわいく見える
・目が顔の上の方にあると大人っぽくなってしまう
えっと、それは…言われるまでもなくけっこう当たり前のことのような…。
ネームのラフ絵かわいい!
マンガ脳2
うすた京介:「“否定”ではなく“説明”のツッコミが好き」
すごいわかるw クマの着ぐるみ捨てる話の「そしてもう寝たー!」とか好きw
空知秀秋:久保御大が背景もセリフも「削る」ことを突き詰める一方で、空知先生は「必要なムダ」の極意を身につけていた!
「普段僕たちがしゃべっている時って、『アレ、アレが』みたいなムダな言葉がけっこう入っているものなのに、文字にする時になると、つい削ってしまう。でも意識的にそのムダなものを入れると、ぐっとリアルなセリフになる気がして」
いいとこに目をつけるなー。私も最初銀魂を読んだ時、あのセリフの生っぽさは衝撃でした。銀魂が有名になってから他のマンガでも「妙にリアルっぽいセリフ回し」が増えた気がするし、「マンガセリフ界」の新たな世界を開拓したのでは。
「マンガのキャラって、基本的にちょっと浮いた存在じゃないですか。手が届かないというか……舞台俳優みたいな感じ。そのうえ台本に書いてあるような堅いセリフをしゃべらせたら、よけい遠い存在に感じられてしまう」
私が空知先生のマンガの登場人物に感じる「なんか近所の人」みたいなすごい親近感はこういう考えから生まれたんだなぁー。マジでそのへんにいそうだもん。
天野明:天野先生はテーマ何になるんだろう?と思ったら「ペン入れ」か。ギャグ路線からバトル路線になった際に意図的にペンでの描き方を変えた…という話でした。確かに今のジャンプの中で一番繊細な線で描かれてるのはリボーンかも。
「線を細くして、線と線の間をあけずにしっかりつないで描くようにしました」
しかし最近は線が美しすぎて少女マンガみたいになってる気が…。個人的にはヴァリアー編あたりの、太すぎず細すぎない線が一番好き。
最近では「細く美麗な線のギャグマンガ」とか「太く荒い線のシリアス」も探せばけっこうあるよー。
村田雄介:「くずし顔を今風に!」って張り紙が…。
村田先生と小畑先生は二大ギャグ顔苦手画伯という印象があるなぁ。
大場つぐみ:「サイコーと亜豆にはあり得ないくらいの純愛をさせたい」
うーん…私正直バクマンはその二人の恋愛パートさえなければ良いのにと思っているのですが…。
尾田栄一郎:やたら表紙とか巻頭のカラー原稿を描く機会の多い尾田先生。テーマは「カラー原稿」。
私はワンピースは読んでなくて、読んでない(読めない)理由のひとつが「描き込み多すぎて疲れる」なのですが、尾田先生が本当に絵が好きなことは作品からもインタビューからもビシビシ伝わってきますね。
「楽しいんですよ。僕は元々絵が描きたくてマンガ家になったので」
「描き込みが増えてますよねえ(苦笑)」
「ちょっと目が悪い人には申しわけないっていうぐらい、描き込みで画面が黒くなってると思います(笑)」

自覚なさってるならしょうがない…か…。
「新シリーズ開始にあたって作った、舞台やキャラクターの設定を細かく描き出したノート」
うわ見てえこれ…!
マンガ脳3



第3章 資料編

1マンガ家1ページの短いQ&A形式。
質問は「1.作画時に使う道具」「2.マンガを描く際に大切にしている信念」「3.影響を受けた作品」「4.今後、マンガはどのように変わりますか?」の4問。Q4の解釈と解答が千差万別で面白い。
マンガ家さん一覧↓
・高橋よしひろ
・宮下あきら
・萩原一至
・冨樫義博
・井上雄彦
・梅澤春人
・つの丸
・藤崎竜
・和月伸宏
・武井宏之
・許斐剛
・河下水希
冨樫義博:本当は2章でインタビューしてほしかったんですが…残念。
Q.今後、マンガはどのように変わりますか?→「(前略)あとマンガを勘違いした方向で持ち上げたり下げたりする連中がいるので、描いてる方がそれに巻き込まれて間違ったところへ行かないかが心配ですが、余計なお世話らしいのでがんばってください。あ、がんばれって言うと怒る人もいるのでやっぱりやめます
冨樫らしいw
許斐剛:Q.今後、マンガはどのように変わりますか?→「(略)マンガの基本は『キャラクターの魅力』ということは不変だと思っています(略)」
この人、わかってらっしゃる…(自分の作品の売りを)。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

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