裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

ある夜に

Category:山岸凉子

ある夜に
1981年

山岸凉子作品集〈11〉傑作集5 篭の中の鳥』(白泉社)
瑠璃の爪(あすかコミックス)』(角川書店)
山岸凉子スペシャルセレクション〈13〉妖精王3
に収録。



8ページの短いお話。
化野の…』と似た「死者が町を歩く」話ですが、あっちの主人公は自分が死んだことに気づいてないのに対して、こっちの女性達は全員理解してあの世へ向かってます。

4人の女性が町を歩く。
一人は華の道、一人は砂の道、二人は石の道を歩く。
彼女達の歩く道は、生きていた時の行いの報いが表れている…という解釈でいいんですよねコレ。抽象的で感想が難しいです。
途中で仲間に加わったおばさんは石の道を歩き、足が血まみれ。

「わたしはずーっと一人で歌を歌ってきましたからね」
「わたしなんか七人の子供を育てて歌なんかひとつも歌えなかったよ」
「ああそれで華の上を歩いているんですね」

一人で歌を歌うことはそんなに悪くないんじゃないか? と思うのですけど…。おばさんの歌で元気づけられた人だっているかも知れないじゃないですか。ジャイアンみたいな歌声だったならまだしも。

でも実際に歩いている道に関わらずみんな、まあアスファルトの上みたいな感触ですよねといったノリの中、一人だけやたら苦しいだの寂しいだの足が疲れただの、不平不満を言う女がいました。

「自分の幸せを考えるよりも他人の幸せを考えてきたわ。
そのあたしがあんなにも苦しんで おまけに華の上も歩けないなんて」


この女は「私はこんなに尽くしてあげてる。だから、もっと何か良いことがあるはず」と思ってるタイプですね。他人のために尽くしてるつもりで本当はすごく欲張りっていう。
人間の性質と死後の世界をからめて描くあたりが山岸先生らしい。お寺の冊子に載せるべきだな(笑)

「あたしはただの一度も加害者になったことなんかないわ。
一度もないわ! いつも被害者だったわ

「これでおしまいなんて これで無になるなんて!
何かがあるはずよ。もっと何かが!


黒のヘレネー』を彷彿とさせるラスト。背景の賽の河原が怖い…。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

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