裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

天沼矛

Category:山岸凉子

天沼矛(あめのぬぼこ)
1986年

時じくの香の木の実(あすかコミックス)』(角川書店)
自選作品集 月読(文春文庫ビジュアル版)』(文藝春秋)
白眼子(潮漫画文庫)』(潮出版社)
山岸凉子スペシャルセレクション〈3〉神かくし』(潮出版社)
に収録。



「桜」をテーマにしたオムニバス。
まったく雰囲気の違う3編の短編で構成されています。個人的には第二話が薄ら怖くて好き。


「第一話 夜櫻」

どうしてここはいつも夜なの
あの桜はなぜいつもいつも花びらを散らすの? 尽きることもなく

神話の世界。一人ぼっちで寂しい神様は天沼矛で沼をかき回し、一人の少女を生みだしますが、少女は蛇神である神様を怖がって逃げてしまいます。それでも神様は、夜が明けない世界を嫌がる少女のために、桜の木に火をつけさせます。木と共に燃え、黒コゲになって苦しむ神様に少女が白い乳を振りかけると神様は立派な男性へと姿を変えましたとさ。めでたしめでたし。
感想に困る(笑)正統派神話ストーリー。えーと、天沼矛は実際に古事記に出てくるアイテムだけど、この話は創作神話でいいのかな? ぐぐってもそれらしい神話が出てこないので。
「どうして少女の乳がでるの?」という山岸先生の的確な自分ツッコミあり。ほんとだよ。


「第二話 緋櫻」

そうだ あれはお母さんだった!
口に櫛をくわえて 目が…光っていた

離婚歴のある駿と結婚することになった佐江子。実家の庭に新居を建てるため、桜の木を伐採する途中、桜の幹から出てきたのは大量の五寸釘。その時佐江子は子供の頃の記憶を思い出してしまう。夜中、櫛を口にくわえて丑の刻参りをする、今は亡き母の姿…。
離婚歴のある婚約者、病気で亡くなった「お母さん」、後妻である今の「ママ(母の妹)」と、意味ありげな人物を配置し、主人公が思い出したお母さんの恐ろしい行動の謎…と来て、さあどうなるのかと思えば「駿との結婚が少し恐い…」でいきなり終わってしまう。このラストに、初めて読んだ時は「山岸先生、もう少しヒントくださいよう!」と思ったのですが、今思えばこのモヤモヤ感が肝だったのかも。
「お母さん」がまだ存命の頃から父は「ママ」と関係があった? お母さんはそれを知っていた? 丑の刻参りはその恨みから? 駿の別れた女性と息子は? など、主人公の脳内を駆けめぐったであろうさまざまな男と女の愛憎劇。男と女って怖い→この先結婚する駿と自分の間にも何があるかわからない→「駿との結婚が少し恐い」という結論なんじゃないのかなと思いました。そのへんがはっきりしないのもまた良し。


「第三話 薄櫻」

「気にするなよ おまえのはすぐ良くなるよ」
人魂が飛ぶと噂される療養所に入院している少年たちの、ちょっと切ないお話。
少年たちの部屋には、少し年上の荒雄(あらお)という少年がいましたが、その名のとおり荒々しい性格なのでみんなから嫌われていました。
でも小6の節(たかし)は、クリスマスの夜に荒雄の意外な優しさを知ります。
ツンデレの荒雄くんに少しずつ懐いていくショタっ子節くん。桜吹雪の中でのキスシーンがあったり、よく考えるとうっすら少年愛な雰囲気のお話です。なんか長野まゆみが書きそうな…。絵と話のせいで全然それっぽくないけど。そういやサナトリウムとかモロに少年愛シチュエーションじゃないか。
普段はキツい荒雄が、病室でクリスマスパーティの準備をするシーンが好きです。他の子がみんな一時帰宅して寂しい節を気づかって…良い兄ちゃんだ…。ホロリ。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
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カルバニア物語
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トクサツガガガ
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ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.