裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

キンランドンス

Category:丸尾末広

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改訂版 キンランドンス(2008)
丸尾末広
青林堂
全1巻


14編収録の短編集。
「カラー絵のせいで線がぼやけている表紙」が多い丸尾作品単行本の中で、これはカバー絵がかっちりペン画で美しかったのでジャケ買いしたのですが、中身は…うーん…いまいち。
丸尾末広の作品は「話は大概わけがわからないけど、絵の美しさ・描き込みの細かさ・線の細さ硬さ・独特の雰囲気で魅せる」タイプのマンガだと思ってるんですが、この短編集はわけがわからない上に絵も心なしか大雑把…というか描き込み少ない作品が多くて残念です。線太め・全体的に白っぽいです。
少女椿関連の作品が2本あるので少女椿ファンにはありがたいですけど。


「お尻に火をつけて」

薔薇色ノ怪物』の「僕らの眼球譚」とだいたい同じ。相思相愛の兄妹が下男のおじさんを虐める。
あっちの描き込みの細かさと比べると劣るなぁ…。


「月の砂漠」

月の砂漠を延々と彷徨う少年の話。
これはまあまあ線が綺麗な方か。


「カクエイ先生怒りのキン玉」

箱で送られてきた少女と遊ぶカクエイ先生。下品だ。そしてスカトロだ。
しかし「カクエイ先生」って大丈夫なのかこれ。なんか打っててドキドキします。


「8月の濡れたアソコ」

女子高生が夏の暑さにパンツ脱いで寝てたら泥棒に襲われる話。
これ絵の雑さが特にひどいです(笑)
キンランドンス1
丸尾作品の特徴「エロ・グロ・ポエム・レトロ・線の細かさ」のうちエロしか残ってない状態。
…ていうか前から気になってたんですが…丸尾氏の描く女性器の構造ってちょっと間違ってません…?


「放屁論」

「屁は孤独だ 決してエンターテイメントたり得ないものなのだ」
これはなかなか文学的で好きです。
最後のコマに笑いました。
キンランドンス2


「豚小屋」

うえー。目を逸らしたくなるほど貧乏くさい中年夫婦のまぐわい。
スカトロよりこういう方が嫌かも。
やっぱり絵が雑め。


「終りなき世のめでたさよ」

ストーリーは特になし。一枚絵とエロ詩。
なぜかおしんが出てきます。最後のページの女の子はけっこう可愛い。


「スネコタンパコ」

女王様に虐められる小男。スカトロ。
最後はちょっとカニバリズム。


「バカ女と豚男」

グレた女子高生が変態のおっさんに犯される。
「8月の〜」とかぶってるよ…。
これもそこそこ絵が雑。


「真っ暗い日曜日」

カニバリズム話。
男が日本人で、女の方が白人ということをやたら台詞で強調してるあたり、佐川一政の事件が元ネタかなー? 最後の表情がやばい。


「怪物団」

謎の集団「怪物団」が夜の一般家庭を襲う。『少女椿』の見世物小屋のみんなによく似たメンツが登場。フリークスの人も二人ほどちゃっかり混ざってるけど。
鞭棄さん(っぽい人)のミイラ度が上がってます。下半身とか。
キンランドンス3
こっちの鞭棄は腕生えてるんですね。鞭棄さんは脚使いがエロいのがいいのに。(←少女椿の感想読み返して「みどりちゃん差し置いて鞭棄語りすぎだろ自分…」と反省したものの特に改める気はない人がここに)(だって包帯好きなんだもん!)
ていうかやっぱりロリ担当なのか鞭棄(っぽい人)…。そろそろ言い逃れできないぞ。
…紅悦さん…と…カナブン(?)…が…。お、お戯れを…。
キンランドンス4
確か映画「フリークス」の邦題が「怪物團」でしたね。前から思ってるけど、丸尾氏に「フリークス」をコミカライズしてほしい! やってくれたら絶対読むんだけどなー。あれ勧善懲悪の復讐劇だし雰囲気ぴったり。


「少女椿 水子編」

花売り時代のみどりちゃんと、お友達のキミちゃんの話。
唯一アニメ版の少女椿に入ってないエピソードです。
もうひとつの短編・哀切秘話少女椿(やったねたえちゃん)にあった悲壮感はほぼない。いや、もしかしたら長編の少女椿(エログロシンデレラ)より雰囲気軽いかも。背景が白っぽいからかなぁ。この頃のみどりちゃんはまだ学校に行ってます。
お金のために、つい悪い大人に身を任せてしまう貧しい少女二人。お友達のキミちゃんは、おじさんの甘い言葉に乗せられ…。丸尾氏って少女の裸描くの上手すぎて怖い。
キンランドンス5
長編『少女椿』ではツンデレミイラロリコン紳士からモテていたみどりちゃんですが、こっちでは借金取りのおじさんにいたずらされてます。ていうかこんな口約束で本当に借金はチャラになったのでしょうか。そういう時は一筆書いてもらわないといけないよ、みどりちゃん。
冒頭の詩が切なくて好きです。似た詩が『夢のQ-SAKU』の「笛吸童子」にも出てくるけど、元ネタあるのかな。


「ウコンゲッボ」

うん、えーと、大麻のやりすぎだなあってかんじの話。
やっぱりストーリーは特にない。台詞もほぼない。
それにしても丸尾作品は時代設定が現代に近づけば近づくほど魅力がなくなる気がします…。


「99万人の生娘」

改訂版にのみ追加された短編。
ラーメン屋に奉公する貧しい雪ちゃんの話。
夜ごと旦那さんが夜這いをかけてきて辛いっていう話なんだけど、良いのか悪いのか、やっぱりあまり悲壮感がない。濡れ場はコミカル。



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キンランドンス──堕胎作品集(2000)
丸尾末広
青林堂
全1巻

「99万人の生娘」は未収録。

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柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.