裏次元の一日

マンガ・アニメを研究したり分析したり考察したりしてなかったり。

スポンサーサイト

Category:スポンサー広告

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『悪い種子』ローダの系譜・美少女殺人鬼が登場する漫画&映画まとめ

Category:研究未分類

悪い種子・ローダちゃん
ローダ様


私は60年代前後のレトロ漫画を読むのが趣味なのですが、今よりも漫画が大人しい時代かと思いきや、
「可憐な美少女が次々と人をぶっ殺していく漫画」が意外と存在することに気づきました。しかもなんかストーリーが似てる。
原因は1956年の映画『悪い種子』です。(これはいろんな漫画史とか評論に書いてあったから確かな情報です!)
このようなショッキングな映画が公開されて、創作意欲をそそられた作家がけっこう多かったのでしょうか。
とにかく、60年頃から急に「可憐な美少女が次々と人をぶっ殺していく話」が流行りだしたのです。
今回はそれらの作品を時代順に並べてローダの影響力に思いを馳せたいと思います。
普段は漫画ばかり紹介するブログですが、せっかく原典が映画なので、映像作品も少々入れてみました。
注意:解説文でネタバレしまくってます。



『悪い種子(たね)』1956年

悪い種子・ローザ 悪い種子 [DVD]
言わずと知れたカリスマサイコ少女。
「あれが欲しいから」「邪魔だから」というだけの理由で次々と人をぶっ殺す悪魔のような少女・ローダ8歳。
母親は娘の異常性に気づき、自分の先祖の殺人鬼の血のせいだと苦悩する。
使用人のオッサンはローダの秘密を知るが、焼き殺されてしまう。
母はローダに睡眠薬を飲ませ殺そうとするが、裏をかかれて自分だけ死んでしまう。
母が運ばれた病院で、何も気づいてない父と抱き合って終わり。
(その後雷に打たれて死んだり、カーテンコールでおしりぺんぺんされたりする付け足しエンドもあります)



『悪魔の落し子』井上智 1958年

悪魔の落し子 悪魔の落し子のリリーと悪い種子のローザ←リリーとローダ。もはやコミカライズ
あからさまに『悪い種子』に影響されまくりの貸本漫画。8歳のリリーが物欲や復讐心のままに人々を殺す。
こちらも殺人衝動は血筋のせいで、母親が気づいて悩む。
ちなみに白人キャラなのはリリーだけで、他の登場人物は日本人です。
キャラ設定どころか髪型も服装もローダと全く同じにしちゃってるあたり、昔は大らかだったんだなーと思いました。



『見えない流れ』矢代まさこ 1964〜1966年

見えない流れ2 見えない流れ1
当時貸本漫画の人気シリーズだった「ようこシリーズ」のうちの一作。
あどけなく可愛らしい幼女・ヨウコが次々と人をぶっ殺す。
ヨウコはお金持ちの家の養女なのですが、実は母親が殺人鬼。その血のせいで…と理由がついているのはお約束。
「ようこシリーズ」は基本的には
・「近所の床屋さんと食堂のお姉さんの恋のキューピッドになろうと奮闘!」とか
・「家族全員眼鏡をかけている眼鏡一家が、父の病気をきっかけに心をひとつにしてがんばる!」とか
・「普段はうるさいママが寝込んで初めて知ったママの大切さ」といった、
ごく普通の少女漫画シリーズなので、この『見えない流れ』だけ明らかに浮いています。流行ってたから描きたかったのはわかるけど、なんでこのシリーズで描いたん…。
ちなみにこのシリーズは「ようこシリーズ」という名の通り、主人公が変わっても必ず「ようこ」という名前なのが特徴なのですが(漢字表記は色々)、こんなサイコパス主人公にも同じ名前をつけてしまうあたりすげえなと思いました。他のようこはみんなまともなのに…。



『聖ロザリンド』わたなべまさこ 1970年

聖ロザリンド 聖ロザリンド (ホラーMコミック文庫)
8歳の愛らしい幼女・ロザリンドが次々と人をぶっ殺す。
物欲のために平然と人を殺す、母方の先祖に殺人鬼がいる、母が娘の殺人に気づく、母が心中を企てるが失敗して母だけ死ぬ、ルンペンの男が秘密に感づくがあっさり殺される…など『悪い種子』の翻案漫画といってもいい作品ですが、ロザリンドに悪意は一切ないのが特徴。天真爛漫、純真無垢。ただし、人の命を何とも思わない。
「嘘をついたら天国へいけないのよ」というママの教えをひたすら貫くバカ正直な幼女殺人鬼ということでキャラが立っています。
ロザリンドに「嘘・冗談」という概念はなく、寂しいお年寄りが「ああ早く死にたいねえ」とか言ったら親切で殺してくれるし、お友達が嘘をついたら神様に代わって罰を与えたりします。
しかもこの子は自分のしてることを罪だと思ってないので「私が○○を殺したのよ☆」とかペラペラ人にしゃべっちゃいます。でも当然誰も信じない。
旅をしながらサクサク人を殺し、最終的には父親にもバレて全国指名手配されて世間を恐怖のどん底に陥れたりと、ここに出てくる美少女殺人鬼たちの中では一番世間を騒がせたかも知れません。
作中で何度も出てくる「悪いのはロザリンドの中に流れる殺人鬼の血なの! ロザリンドは何も悪くないの!」というような台詞は正直えーって思いました。私は若者なので昔の人ほど「血筋」の威力を信じていません。



〜『悪い種子』の直接的なオマージュなのはこのへんまで〜
(ここから先はもうローダ系というより「美少女殺人鬼」という一ジャンルが築かれていてわりと自由に描かれている)



『可愛い悪魔』1982年

可愛い悪魔 [VHS]
火曜サスペンス劇場。
花嫁のベール、陶器のお人形。物欲のままに無邪気に人を殺す美少女・ありす。自分の欲求を邪魔する者はぶっ殺す。
ありすは自分の叔父を愛していて、叔父に近づく女は誰であろうと許さない。
秘密を知ったヒッピー青年がありすに近づくが、焼き殺される。
決め台詞は「死んじゃえ〜」。
母とおばの涼子はありすの異常性に気づきますが、母は頭に鉢をすっぽり被って殺され、涼子は必死に訴えるも、精神病院の中では誰も信じてくれないのでした…。
他の映像作品は全部外国ものなのですが、これは珍しく日本が舞台。やっぱり日本人だとより生々しくて怖いです。



『悪魔の種子(たね)』まつざきあけみ 1989年

悪魔の種子・瞳 ふりむいた男 (ソノラマコミック文庫―華麗なる恐怖シリーズ)
タイトルそのまんまやがな。
施設から引き取った6歳の瞳は、隠れて虫を殺したり動物を虐めたりする子だった。
そして近所で謎の事故死や殺人事件が相次ぎ、瞳の異常性に気づいた母・香緒里は、以前見た映画『悪い種子』と重ねて恐怖する。
しかし、施設の人に話を聞いてるうちに香緒里は気づいてしまう。瞳は自分が高校生の時に捨てた自分の実の娘だったのだ…。
香緒里こそ、実は幼い頃からの快楽殺人鬼だった。自分の血を受け継いでるから殺人衝動があるのね!と合点がいった香緒里は今のうちに殺そうと瞳に襲いかかるが、偶然とはいえ瞳の最初の殺人の被害者になってしまう。
『悪い種子』を下敷きにして、母親目線で娘に怯える話かと思いきや、実は母親も元美少女殺人鬼だったという二段落ち。二人で意気投合して仲良く暮らせばいいのに。
瞳が母親を殺したことで新たなる殺人鬼として覚醒して終わり。



『路地裏』伊藤潤二 1991年

路地裏・忍 伊藤潤二恐怖博物館 5 路地裏 (ソノラマコミック文庫 い 64-5)
嫌いな人間を(家族ですらも)軽々と殺しちゃう美少女・忍ちゃん。14歳。(このメンツの中だとだいぶお姉さんな方)
自分が殺した幽霊たちが毎晩呪いの言葉を投げかけるけど、それを聞くのが大好き! 超メンタル強いです。
「変な空間萌え」の伊藤潤二の作品なので、忍の細かい性格とかよりも路地裏の変な構造とか壁のシミにページが割かれていて、おまけに直接的な殺人シーンも一切出てこないので「美少女殺人鬼もの」というにはちょっと弱いですが。
忍ちゃんは基本的に大人しくて儚げで無口で、自分の殺人を語る時も静かに微笑みながら話す感じなんですが、壁の落書きは「ふざんけんなよバカ」「おやじなんか死んじゃえうるさい」「やったやった 殺してやった」と意外とヤンチャ。豹変シーンとか見たかったな。
オチのおっちょこちょいは面白かったです。ドジっ子殺人鬼って新しいんじゃ。
忍ちゃんの、おまえが言うなな名台詞→「命って大切だもの…」



『チキタ★GUGU』TONO 1997年

チキタGUGU・パイエ チキタ★GUGU 1 (Nemuki+コミックス)
主人公じゃないですが、終盤の敵キャラ・パイエ。美少女殺人鬼エピソードが出てくるのは回想シーンの幼女時代です。
「寒いだろうと思って弟をフトンで包んだら死んだ」とかロザリンド系の言い訳をしてますが多分嘘です。性格はフツーに悪いです。
パイエは子供に毒団子食わせたとか、嘘ついて耳を釘で刺したとか、殺人以外のエピソードが怖い…。
大した理由もなく人を殺す、「痛み」が理解できない、加齢や出産など「汚くなる」ことが一番怖い…というなかなか特殊な感覚を持った、私好みのキャラなのですが、惜しいかな主人公ではない上に直接的な殺人描写がないです。
ローダ系殺人鬼の特徴である「周囲の人間が本性に気づかない」ということが全くない珍しいキャラです。フツーに殺人鬼として村中でビビられています。まあ現代ものじゃないし、他にも殺人とか戦争とか人喰い事件とかめっちゃ起きてる世界観だしね…。



『魔少女転生』関よしみ 2008年

魔少女転生・玲那 関よしみ傑作集 魔少女転生 (ホラーMコミック文庫)
伝説に残る残虐非道な姫「鬼姫」の生まれ変わりである幼稚園児・玲那。
「自分のワガママを通させる」能力があり、相手をメロメロにし、言いなりにすることで他人を滅茶苦茶にする。
「○○くんの目、きれい」と玲那に言われれば自分の目玉を差し出しちゃったり。
周囲の人々はどんどん玲那の魔力に狂信的になっていき、ぶっ壊れていきます。
唯一玲那の能力が効かない姉は無理心中を図るが、玲那だけ助かる。
「目玉をえぐる」「指ごと指輪を取る」あたりはロザリンドへのオマージュが感じられますね。



『エスター』2009年

エスター エスター [DVD]
孤児院から引き取った9歳の美少女・エスターは、実は引き取られた先で一家殺害を繰り返す殺人鬼だった。
自分をからかった子とか殺す。義兄のダニエルも殺されかける。
義父は厚化粧をしたエスターに「女として愛して」と迫られるが断り、殺される。
異常性に気づいた義母はエスターと戦う。エスターは戦いに負けて湖に沈む。
原動力は「満たされない愛」とけっこう深刻な気がするので、「何となく物欲とか楽しみで殺っちゃうよ感」が強いローダ系統とはちょっと違うような気がしますが…。
ネタバレ→ホルモンバランス異常で発育不全なだけで実は33歳。というわけでほんとは年齢的に「美少女」殺人鬼としてはアウト。



『ケース39』2009年

ケース39・リリー ケース39 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
実の両親にオーブンで焼き殺されそうになった、10歳のリリー。
両親はリリーが異常な娘だと気づいていて殺そうとしたが、リリーに通報されてしまい、逮捕されて精神病院送りにされる。
ソーシャルワーカーのエミリーはリリーを引き取るが、周囲で謎の死亡事故が連続して起こるようになる。
リリーのおかしさに気づいたエミリーはリリーを殺そうと奮闘。リリーは最後は水で窒息死。
「悪魔に取り憑かれている」というオーメン的な設定。リリーの倒し方も、日本人にはピンと来ないものだった。(悪魔ってオーブンとか水で死ぬの??)
悪魔なので殺人以外にも幻覚見せたりもできます。



よく出てくるなーと思った要素
・物欲や楽しみのためだけに簡単に人を殺す
・殺人鬼の血を受け継いでいるとか悪魔つきとか何らかの理由がつけられる
・母親が最初に娘の異常性に気づいて苦悩する(父親は気づかないことが多い)
・悩んだ親に無理心中させられるなどして殺されかけるが、助かる(殺そうとした親などは死んでしまう)
・いけ好かない大人の男に殺人がバレてややピンチになるが、結局は返り討ちにする
・あと、下の番外編も入れると「恋愛対象が大人の男」というのもいくつかある(同世代の少年を相手にするよりもロリータ的な妖艶な印象になる)



番外編


惜しい方々。


『洗礼』楳図かずお 1974〜1976年

洗礼・さくら 洗礼 (1) (小学館文庫)
上原さくら、小学4年生(ただし精神は中年)。自分の目的のためにライバルを執拗に虐めて追い出したり、クラスメイトを閉じ込めたり、人を殺そうとしたりします。
けっこうなサイコ美少女なのですが、結果的にほとんど死人が出ていないことと、「憧れの先生のお嫁さんになって女の幸せを掴み取る」という悲壮な目的があってこその行動なので、「何とな〜く物欲とか楽しみで殺人を犯す」ローダの系譜ではないかなーって。



『妖子(あやこ)』池田理代子 1979年

妖子 妖子 (1) (中公文庫―コミック版)
麓妖子(ふもとあやこ)ちゃん、初登場時12歳。(老けすぎ)
死刑囚と悪魔の間に生まれた子で、産みの母親のすり替えにより伯爵家の令嬢として育つが、出生がわかった途端(育ての)両親に殺されそうになる。自分の身を守るために悪魔の血が覚醒し、親子で殺し合いがスタート。
その合間に恋したり裏切られたり悪人を成敗したり恋したり裏切られたり事件に巻き込まれたり。
妖子はさ、両親が豹変さえしなければ普通の少女として過ごしたと思うんだ…。やっぱなんか可哀想なポイントがあると殺人鬼とは言いにくいな。
妖子の残酷な行動は自己防衛のためであることが多いです。最初の殺人以外は殺したり騙したりする人間も悪人が多いし、善人のクラスメイトのことは助けてくれたりもするので、ローダ系というよりはダークヒロインですかね。
悪魔の娘だと蔑む両親(でも世間体が悪いのでおおっぴらに攻撃できない!)VS悪魔の血に守られつつ両親の策略を次々とかわす妖子(でも本当は以前みたいに両親に愛して欲しい!)が、表向きは仲良し家族として暮らし続けてる構図がシュールで好きです。
この漫画で一番頭おかしいのって、12年も大事に育てた娘が他人の子だと知った途端「とんでもない恥辱だ!」とか言って殺人計画立てはじめる麓夫妻だよね。
なお未完。池田先生、私ずっと続編待ってます…。



『ジェニーの微笑』曽祢まさこ 1981年

ジェニーの微笑 七年目のかぞえ唄 (講談社漫画文庫)
性格の歪んだ美少女・ジェニーの話ですが、猫一匹しか殺してないので殺人鬼のうちには入らない。
でもムカつく子にガラス食わせたりはするよ。
マインドがローダ似な気がするので入れておきます。



『蛇苺』丸尾末広 1989年

蛇苺・山口 新ナショナルキッド
そんなに死人出てないので。
演技派サイコパスの山口さんは美少女でクラスの人気者だけど、裏でみんなを苦しめるぞ!
女子だけじゃなく、自分に好意を持つハンサムたちにも平等に容赦ないのが素敵です。これで男子には優しかったらわりと平凡なキャラになっちゃってたと思う。
顔は昭和の某アイドルにそっくり。



以上、「可憐な美少女が次々と人を殺していく作品」まとめでした。
個人的には聖ロザリンドのような「悪意一切ないんです系」がもっと見たいですね。
あれはもはやシュールギャグとして完成されていた。

HOME

柿丸

柿丸
文化人類学的観点からマンガを研究したいただのマンガ好きです。データ収集が趣味。
ジャンプ歴10年でしたが2016.3に一旦卒業しました。
マンガの感想は基本的にネタバレです(どうせ古いマンガしか感想書かないので)。

【新刊追ってるマンガ】
アオイホノオ
おいピータン!!
大奥
カルバニア物語
きのう何食べた?
海月姫
たそがれたかこ
トクサツガガガ
ドリフターズ
ドロヘドロ
HUNTER×HUNTER
etc.

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。